英語論文にありがちなミスはどのようなものなのか

日本語と英語では、文を作る上での発想法が根本から異なります。英語論文の執筆においてはいわゆる学校文法はもちろんのこと、学術論文特有のルールや句読法のマナーなどを基礎からおさえておく必要があります。学術論文では初歩的なミスほど致命的な欠陥と見なされ、場合によっては論文全体の信憑性も左右されかねないため、内容以上に文法ミスについてもきちんと細かくチェックし、見つけた時点ですみやかに修正するようにしましょう。

時制の間違いは非常に多いミスの一つ

日本人が英語を習得する場合に何よりも苦労するのが時制問題です。日本語において時制はあまり意識されることのない概念ですが、英文法では非常に厳密に定義されており、論文の内容以前に時制を正しく理解していなければプロフェッショナルとは認められません。最も初歩的な「時制の一致」とは、関係代名詞をはさんだ前後の節にふくまれる動詞の時制を一致させることであり、ひとつの文中で動詞の時制が不一致である場合、それはあきらかな文法ミスとして認識されます。

時制という概念は日本人にとってなじみのない概念のため、プロの研究者でも英語論文においては無意識のうちに時制のミスをおかしてしまい、それに気づかないまま論文を投稿するケースも少なくありません。実際の研究現場では書き上げた原稿をいくつかの段階に分けて校閲する専門家がいるため、初歩的なレベルの文法ミスはふせぐことができますが、できることなら執筆者自身で大まかな文法ミスを修正できるだけの文法知識を身につけておきたいものです。

時制の概念をネイティブレベルで理解するためには、ネイティブの書いた英文に数多くふれることが大切です。ネイティブの文法センスをできるかぎり早い段階で吸収することによって、時制などの複雑な概念について整理した形で理解することができ、自分自身で論文を執筆する際にも知識として大いに役立ちます。とはいえ時間的な制約もありますから、自分の専門分野に近い論文に的を絞って読みこなすようにし、ボキャブラリーを効率的に増やせるように工夫しましょう。時制を意識することで英文法の基本的なルールも自然と身につき、ネイティブに近い発想法で英文が書けるようになります。

学術論文では使えない接続詞がある

日本語でも重要視される接続詞の用法。日本語以上に論理性がもとめられる英語論文においてはとくに大きな意味をもち、接続詞ひとつで論文全体のニュアンスが大きく変わってしまう場合さえあります。また、いわゆる日常語と学術論文ではふさわしいとされるボキャブラリーが異なり、日常で使用される接続詞、たとえばbutやorなどを安易に使用すると論文としての品格を疑われる可能性があります。学術論文では学校文法よりも少し堅苦しいボキャブラリー、一例を挙げるとthus(ゆえに)、however(しかしながら)などの接続詞が一般的に用いられます。

日本語でもあらたまった論文で「だから」、「だけど」などとは書かないように、英語論文においてもテーマと趣旨、そして読者に合わせたボキャブラリーが選択されるのです。英語論文を書くうえで注意しなくてはならないのは、接続詞ばかりではありません。「英語は主語によって支配されている」という言葉があるように、主語と動詞の関係もまた英文法では重要視されており、これらを常に意識しなければミスのない正しい英文を書くことができません。シンプルな英文を書くことには慣れていても、関係代名詞を含む複雑な構造の英文を書いていると気づかないうちに主語と述語の間にずれが生じてしまい、文章の意味そのものがねじれてしまうことがよくあります。ネイティブの英文にふれる機会の少ない日本人に多い文法ミスであり、校閲者にとっても当たり前に見られるチェックポイントだといいます。

接続詞の問題は日本人にとってはそれほど意識することのない要素かもしれませんが、英語論文においては内容以上に重要な概念であり、絶対に守るべきルールでもあるのです。

短縮形は基本的に使用することができない

医学論文においてはとくにボキャブラリーの専門性が高く、短縮形を使用しなければ論文全体のボリュームが非常に大きくなってしまいます。学校文法では「I’m」、「It’ll」などの短縮形が教えられますが、学術論文では原則としてこうした短縮形は使わないほうが良いとされています。短縮形はいわゆる話し言葉であり、文章の中で使う場合もたとえば小説や軽めのエッセイなど、あまり堅苦しくないジャンルの作品に限定される、というのがネイティブの共通認識のようです。
したがって、いわゆる主語と助動詞の組み合わせでは短縮形を使わず、本来のかたちのままで略さずに記載することが学術論文ではもとめられます。

助動詞の短縮形以外に英文初心者を混乱させがちなのが略語です。専門性がとくに高い医学論文では特殊なボキャブラリーを使うことが多く、ひとつひとつの用語のボリュームが大きいため、無意識のうちに略語に変換してしまうことがあります。日常レベルの英文では適度な略語の使用は読者の理解を助けるうえで役に立ちますが、学術論文に限って見ると、安易な略語の使用はむしろ論文としての品位を下げ、なおかつ読者を混乱させかねないという意味で避けるべきだとされています。たとえ一般的な略語であっても文脈によってはまったく別の意味になることもあり、読む側は意味を正しく理解できなくなります。

やむを得ず略語を用いる場合は初出の時点で正式名称を示し、そのすぐあとにカッコ書きで略称を記す、というのが一般的なルールとされています。

まとめ

ネイティブであっても文法ミスはつきものです。重要なのは「ミスの意味をきちんと理解しているか」ということで、その部分をきちんとフィードバックしなければ同じ誤りを何度も繰り返してしまいます。とくに日本人にとってなじみのない接続詞や時制問題については執筆後にネイティブの校閲者にきちんとチェックしてもらい、ミスのない論文に仕上げるようにしましょう。

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