英語で医学論文を書くときに知っておくべきこと

英文で医学論文を書く場合、内容的なクオリティはもちろんのこと、文法や句読法、記号の使い方など細かな部分についても完璧さがもとめられます。些細なスペルミスが見つかっただけでもその論文全体の信憑性が大きく損なわれることになるため、執筆にあたっては事前に英文法の基礎をきっちり身につけておく必要があります。ここでは、英語で医学論文を書く場合に最低限おさえておくべきポイントについてまとめましたので、研究職の方も、これから本格的に論文執筆にあたりたい方も参考になさってください。

スペースやコロンなどの句読法には注意が必要!

これは実際に英語論文を書いてみなければわからないことかもしれませんが、英文法では日本語以上に句読法にきびしいという特徴があります。句読法とはたんに句読点(コンマ、ピリオド)の使い方を表すのではなく、コロンやセミコロン、かぎ括弧など英文において多用される各種記号が文法上の誤りなく適切に使われているか、というところまで厳密にチェックされます。手書き原稿の時代であればともかく、現代ではこうした初歩的な文法ミスはパソコンの文書処理ソフトで自動的に修正することが可能です。すなわち、その程度の簡単な誤りさえ直さずに論文を提出するような学者は研究者としての資格がないとプロの間では判断されるのです。

とくにコロン、セミコロンは日本人にとって使い方が区別しにくい記号の代表例のように言われていますが、もともとの意味をきちんと理解すれば混同することはありません。コロンは英語論文においては引用符の一種として使われ、複雑な語句を含む長い引用をあとにつづけたり、コンマで区切られていない文節の仕切りを示すために用いられます。一方のセミコロンは等位接続詞の一種として使用され、同格の強さをもつ文節同士を等しい関係として結びつける役割をもっています。

英文の句読法について正確に理解するためにはまず、できるだけ多くの英文にふれることが大切です。話し言葉を耳から覚えるように、書き言葉の英文を目から覚えることは文法の学習上非常に効率がよく、なおかつ確実なアプローチだと言われています。ただ漫然と英文を読むのではなく、自分が書きたい論文に近いテーマのものを集中的に読みこなすことで豊富なボキャブラリーが自然と頭に入り、正確な句読法も身につきます。

剽窃は禁止!書き換えの技術を身につけよう

医学論文の世界でも、もちろん剽窃、いわゆるコピーは絶対にやってはいけない行為とされています。「同じ研究テーマなのだから文章が似通ってくるのは仕方がない」というのはきびしく言えば研究者の甘えであり、そのような考えをもっている時点ですでにプロとは認められません。国際的なレベルの研究者にもとめられるのは「書き換え」の技術です。

剽窃とリライトはアマチュアの感覚では一見似ているようですが、英語論文においてははっきりと区別されています。リライトは剽窃と違ってプロの間でも正式に認められたプロセスであり、むしろ、リライトを正確にこなせることこそがプロフェッショナルの証とまで言われています。もちろん、文章の語尾や言い回しを単純に変換しただけではリライトとは認められません。正式に通用するリライトとは、文章の主語と述語を入れ替える、受動態を能動態にする、主語を名詞から動名詞に変える、などの抜本的な作業が必要になります。

さらに、パラグラフの順序をある程度入れ替えることでも全体の印象ががらりと変わり、もともとの文章とは骨格そのものが変化したように見えます。ここまで手を入れた論文であればたとえベースが同じであってもべつの論文として認められることが多く、一部の教育機関では若手研究者のうちから正しいリライトの作法を徹底的に身につけさせるところもあります。

ただし、投稿雑誌によっては一切のリライトを認めず、完全なるオリジナル論文以外は受け付けないというところもありますので、まずはオリジナルの医学論文をきっちり書きあげられるスキルを身につけることが重要です。プロの研究者をめざすにあたっては、剽窃とリライトは違うということをしっかりと理解しておきましょう。

医学論文において症例報告は非常に重要

研究職の立場で医学論文を執筆する場合、症例報告のルールは絶対に身につけておくべき項目です。英語論文と同様、症例報告には厳密な様式と構造化がもとめられており、様式を大きく逸脱した報告書はデータの意味をなさなくなります。英文は形式というものを日本語以上に重要視する傾向があり、症例報告も一定の書式と手順にしたがって書き進められることが望ましいとされています。一般的な症例報告は、(患者の所見、病歴、検診結果、病理テストの結果、治療計画、計画後に予想される反応、実際の治療プロセス)など治療にかかわるすべての項目について詳細に書き記すことが原則となり、このうちのどれかひとつでも不足があったり、反対に無駄なデータが記されていたりすれば報告書としての信憑性が疑われます。

また、一般の論文と同様、医学論文においても考察と結論部分がとくに重要であるとされており、つまりは「この報告を通して医学的に何がわかったのか」を記録として残すことで新たな治療法の発見に役立てたり、無理のない術式の開発の参考にしたりすることができます。ただ実際には、臨床医は日々の激務に忙殺され、なかなか思うように症例報告が書けないという現実があります。これは本筋からはずれますが、昨今はテレビドラマの影響で臨床ばかりがもてはやされ、論文執筆という地道な作業が軽視されている風潮があります。

本来、論文の執筆は後世の医学発展の礎を築くために欠かせないプロセスであり、それに付随する症例報告もまた未知の治療法を開拓するためになくてはならないプロセスのはずです。研究職をめざすからにはネイティブレベルの英語力を身につけ、客観的な論文および症例報告が書けるスキルを磨いておく必要があります。

まとめ

医学論文には高度な専門性がもとめられ、当然、執筆にあたってはそれ相応の文法知識が前提となります。一般的な英文法の理解だけでは不充分で、より正確な論文や症例報告をまとめるためには句読法やリライトスキルなど、学校文法以外の語学スキルももとめられます。

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