英語論文を読む重要性と英語論文の読み方とコツを詳しく解説

英語は得意なのに、英語論文がなぜかうまく読めないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
その理由は、英語論文で使われている表現は日常会話とは異なるからです。
それでも、英語論文の独特な表現方法や文型を理解できれば、英語論文もスムーズに読めるようになります。
今回は、英語論文を読むメリットや、英語論文の読み方やコツについて、詳しく解説していきます。
他者の研究成果を英語論文で読むことの重要性
英語論文の読み方やコツを身につけたいと思っても、難しすぎて途中て挫折してしまう方も少なくありません。
英語論文を読むことに限らず、何かにチャレンジする時は、明確な目的やゴールがあるとモチベーションを維持しやすいです。
特に明確な目的がない場合は、他社の研究成果を英語論文で読むことの重要性について考えてみてください。
他者の研究成果を英語論文で読めるようになることで、得られる具体的なメリットがわかれば、目標やゴールを設定しやすいでしょう。
他者の研究成果を英語論文で読む重要性やメリットには、次のようなものがあります。
各分野の最新技術情報と今後の課題がわかる
各分野の英語論文は、いずれ日本語に翻訳されますが、すべての英語論文が翻訳されるわけではありません。
翻訳されるにしても、すぐに翻訳されるとは限りませんから、どうしてもタイムラグが生じてしまいます。
どの分野も日進月歩で進化しているので、日本語の翻訳を待って情報を収集しても、その情報が最新技術ではない可能性もあります。
研究は常に新規性が求められるので、研究を始めるにあたり、各分野の最新技術情報を収集しておくことがとても重要です。
英語論文が読めるようになると、各分野の最新技術情報をタイムリーで得られます。
今後の課題がわかるようになるので、意味のある研究に専念できるようになり、その最新技術を取り組んでいる研究に役立てることもできます。
英語論文で使われる表現方法を学べる
英語論文で使われる英語は、日常英語やビジネス英語とは異なる「アカデミックイングリッシュ」で、日本語では「学術英語」と呼ばれています。
分野によって多少の違いはありますが、アカデミックイングリッシュには特有の英単語、文型、言い回しなどがあります。
そのことが、英語論文を苦手に感じる人が多い理由ともいえるでしょう。
反対にいえば、その特有の英単語、文型、言い回しさえ覚えてしまえば、英語論文よりスムーズに読めるようになります。
英語論文で使われる表現方法がわかれば、英語論文の読み方やコツだけでなく書き方も身につき、自己の研究成果を英語論文にしてジャーナルに掲載することも夢ではありません。
掲載されやすいジャーナルが見つかる
研究にすでに取り組んでいる方のなかには、研究成果を英語論文にして、ジャーナルに掲載することを想定されている方も多いのではないでしょうか。
ジャーナルの英語論文の採択率は約50%ですが、一流のジャーナルになるとわずか10%という狭き門です。
英語論文をジャーナルに掲載するためには、研究内容もさることながら、論文の内容がジャーナルのテーマに合っているかが重要になります。
ジャーナルによって、トレンドや掲載されやすいテーマの傾向などもあるので、日頃からジャーナルの英語論文に慣れ親しんでおけば、掲載されやすいジャーナルが見つけやすいです。
採択率が高い研究テーマや好まれる文体もわかるようになるので、英語論文の採択率を確実に上げることができます。
ジャーナルの投稿規定を確認できる
ジャーナルにはそれぞれ投稿規定があります。
投稿規定を守っていない英語論文は掲載されるまでに時間がかかってしまう可能性があり、何よりもそれが理由で採択されないことも考えられます。
応募する前に気づいても、英語論文を修正しなくてはいけなくなるので、各ジャーナルの投稿規定は事前に熟知しておくことが重要です。
ジャーナルの投稿規定は、各ジャーナルのホームページで確認できます。
英語論文を数多く読むことでも、英語論文の読み方やコツと一緒に、ジャーナルの投稿規定も自然と覚えられるでしょう。
まずは英語論文の構成を理解しよう
論文の構成は日本語と英語では異なるので、英語論文の読み方やコツを知る前に、まずは英語論文の構成を理解しておきましょう。
構成を理解し、どこにどういったことが書かれているかを理解することで、効率的に論文を読み進めることが可能です。
【1.abstract(アブストラクト)】
英語論文の要旨です。
英語論文によっては、英語論文の最後に記載されます。
【2. Introduction(イントロダクション)】
日本語の論文の導入にあたります。
【3. Materials and methods(材料及び方法)】
研究で行った実験や、調査の詳しい情報が記載されています。
【4. Results an discussion(結果と考察)】
「Results」の部分で研究結果、「Discussion」の部分で「Results」の示したデータの分析が記載されます。
【5. Conclusion(結論)】
論文に記載されていることのまとめです。
【6. Reference(引用文献)】
参考論文や資料が記載されています。
【7.謝辞】
研究をするにあたり支援を受けた方の名前を記します。
感謝の意を伝える目的がありますが、権威がある人の名前を載せることで論文の信頼性も高められることが可能です。
なお、詳細についてはこちらでも紹介しております。
英語論文を読み方とコツ
では、本題の英語論文の読み方とコツをご紹介します。
英語論文を読み込めば、 自分にとって読みやすい読み方やコツを確立することができますが、それまでは、次にあげる4つのポイントを試してみてください。
【英語論文の読み方とコツ1】アブストラクトを最初に読む
何の情報も前もないまま、英語の文章を読むのは至難の技です。
最初にどのような内容が書かれているのか知っていれば、文脈から内容を予測しながら読み進めることができます。
この時に役立つのがアブストラクト(abstract)です。
アブストラクトは英語論文を200~300語ほどにまとめた文章のことで、英語論文の最初か最後に書いてあるのが一般的です。
アブストラクトはそれほど長くないので、一語一句正確に理解しておきましょう。
【英語論文の読み方とコツ2】重要な単語だけ調べる
インターネットの普及により、辞書を使わなくても簡単に英単語が調べられるようになりました。
それでも、わからない単語を一語一語調べていると、だんだん面倒になって英語論文を読むのをやめたくなってしまいます。
日本語の文章を読んでいても、わからない単語がいくつあったからといって、文章がまったく理解できないということはほとんどありません。
それは、英語論文でも同じです。
文章の流れから内容を推測できる類推力を養えば、わからない単語があっても、英語論文を理解できるようになります。
ただし、タイトルやアブストラクトに出てくる単語や、何度も繰り返し出てくる単語は英語論文のキーワードになるので、必ず調べながら読み進めましょう。
【英語論文の読み方とコツ3】辞書は英英辞典を使う
「英英辞典」は、いわゆる日本語での「国語辞典」です。
英単語によっては、日本訳より英語の説明のほうが、意味がわかりやすいこともあります。
似た単語のニュアンスの違いも理解できるので、「英英辞典」を活用したほうが、英語が上達するといわれています。
ただし、専門分野によっては「英日辞典」のほうがわかりやすかったり、英語が苦手な人は「英英辞典」では英語論文が読めなかったりするので、慣れるまでは「英英辞典」と「英日辞典」をうまく使い分けると良いでしょう。
【英語論文の読み方とコツ4】読んだ内容を日本語でまとめる
先ほど、「【英語論文の読み方とコツ2】重要な単語だけ調べる」で、細かい部分まで理解する必要がないと記載しました。
しかし、読んだ部分の意味が把握できていなければ、英語論文を読み進めていくのはどんどん難しくなってしまいます。
読んだ部分は、次回読む時に英語論文の続きがわかりやすいように、日本語で簡単にまとめておくと良いです。
英語論文は母国語でその研究に関する基礎知識があると、格段に読みやすくなります。
英語論文の内容がわかりづらい場合は、英語論文を読むのと並行して、その研究に日本語で情報収集をし、 日本語でまとめた部分に、役立つ情報として追加しておくことをおすすめします。
また、人によっては、日本語より英語を使ったほうが、英語論文の内容をまとめやすいでしょう。
英語でまとめる習慣を身につけておけば、自分が英語論文を書く時にそのスキルを役立てられます。
英語論文を読む時に役立つ便利なツール
最後に、これから英語論文を読み込んでいきたい方のために、英語論文を読む時に役立つ便利なツールを2つご紹介します。
英語論文およびジャーナル検索サイト
英語論文は興味がある内容、予備知識がある内容のほうが読みやすいです。
英語論文で得た知識を自分の研究に役立てたり、ジャーナルに掲載するための情報収集をしたりする目的で英語論文を読む場合には、その目的に合った英語論文とジャーナルを見つけるのが重要ポイントとなります。
そんな時に役立つのが、「英語論文とジャーナルの検索サイト」です。
「英語論文とジャーナルの検索サイト」は条件検索ができるので、大変便利です。
Google Scholar | 幅広い分野の英語論文を検索できます。 気に入った英語論文を保存できる「マイライブラリ」、 特定キーワードの新しい英語論文が投稿されたことを知らせてくれる「メールアラート機能」などがあります。 |
Semantic Scholar | 新しく発表された英語論文を調べられる検索エンジンです。 AIを使ったアルゴリズムにより、条件にあった英語論文が見つけやすいです。 |
Web of Science | 国際的に信頼されているジャーナルデータベース検索サイトで、多くの学術機関や政府機関、企業、研究者が活用しています。 各論文がどれくらい他の論文に引用されているか、その研究テーマのその後どのように展開しているかを関連論文から知ることも可能です。 |
Scopus | 科学、技術、医学などの抄録・引用文献データベースで、ジャーナル、会議録、書籍なども検索できます。 1800年代の古い文献や抄録も検索可能です。 |
なお、英文校正業者「エダンズ」の「Journal Selector」を活用すれば、無料で2万8,000誌以上のジャーナルと1,200万以上のアブストラクトから、適切なジャーナルを簡単に検索することが可能です。ぜひ、ご活用ください。
https://jp.edanz.com/journal-selector
自動翻訳ツール
英単語をいちいち調べる手間を省きたい方は、自動翻訳ツールがおすすめ。
翻訳したい文章やサイトのURLをコピペしてするだけで、日本語訳がわかります。
自動翻訳ツールには無料版と有料版があり、それぞれの特徴は次のとおりです。
無料版自動翻訳ツール | 費用がかからないので、気軽に使えるのが魅力です。 ただし、翻訳が不自然だったり専門用語に対応していなかったりするので、英語論文の翻訳には向かない場合も多いでしょう。 「Google翻訳」「DeepL翻訳」 などがあります。 |
有料版自動翻訳ツール | 精度が良く、専門性の高い文章の翻訳も可能です。 セキュリティ面もしっかりとしているので、英語論文の翻訳だけでなく、自分の研究結果を英語論文にする時にも役立ちます。 「Zinrai文書」「翻訳T-4OO」などがあります。 |
まとめ
日本語でも専門性の高い論文は読むのは難しいので、日本語を母国語とする日本人にとって英語論文を読みこなすのはかなりハードルが高いです。
しかし、ここでご紹介したように、最初にアブストラクトを読んだり、文章の流れから内容を推測できるようになったりすれば、英語論文もだんだん読めるようになります。
英語論文が読めないという方は、ここで紹介した英語論文の読み方とコツを参考にしてみてください。