英語論文の投稿で翻訳サービスを利用するメリットと業者の選び方

公開日:2023.03.15
最終更新日:2023.08.09

英語が得意な研究者のなかには、自力で研究結果を英語論文にまとめられる人もいますが、英語が苦手であれば翻訳サービス業者に翻訳を依頼するのも選択のひとつです。

翻訳サービスを利用したい方のなかには、業者の選び方がわからない方も多いのではないでしょうか。

今回は、そのような方たちのために、英語論文の翻訳サービス業者の概要から、費用相場、翻訳を依頼するメリット、業者の選び方について、詳しく解説していきます。

英語論文の翻訳サービスとは

まずは、英語論文の翻訳サービスとはどのようなものか、簡単に説明いたします。

学術文書に特化した翻訳サービスのこと

翻訳は、「産業翻訳」「出版翻訳」「映像翻訳」の3つに分類され、英語論文翻訳は企業や研究者の文書を翻訳する「産業翻訳」のひとつです。

翻訳サービス業者が取り扱っている学術文書の分野は多岐にわたり、業者によっては1,300以上の分野に対応可能。

どの分野も専門性が高いため、ただ日本語を英語に翻訳する能力だけでなく、その分野に関する高度な知識が求められます。

そのため、多くの翻訳会社には得意分野があります。
得意分野やどの分野なら対応できるのか、そしてこれまでの翻訳実績について、各業者のホームページで確認可能です。

プランによってサービス内容が異なる

翻訳の依頼をすると、自身が日本語で書いた論文をアカデミックな英語に翻訳してもらえますが、プランによっては翻訳以外のサービスが含まれていることもあります。

例えば、論文の記述の仕方のチェックや文章の校正、ジャーナルの投稿規定に合ったレイアウトやフォーマットの調整などが含まれていることも多いです。

さらに、研究結果がその分野に与える影響、結論に導くデータや裏付け証拠の検証、研究の投稿するジャーナルとの適合性の確認などを依頼することもできます。

サービスの種類が多いので、翻訳サービスを利用する際は、 用途に合わせてプランを選ぶことが重要です。

翻訳サービスを依頼する時の費用相場

英語の翻訳には、「英語から日本語」と「日本語から英語」の翻訳がありますが、費用は「日本語から英語」に訳すほうがが安く設定されていることが多いです。

翻訳にかかる料金は、1文字あたり何円という料金設定になっているのが一般的で、翻訳する言語、対象分野、専門性の高さ、納期までに日数で変動します。

文字数が多ければ多いほど1文字あたりの料金が安くなる傾向にあり、納期が短いほど1文字当たりの単価が高くなる傾向です。

料金は依頼する翻訳サービス業者やプランによっても違いが生じるため、翻訳サービスの費用相場は一概にはいえませんが、一般社団法人日本翻訳連盟では、税別20~30円/文字が目安とされています。

例えば4,000文字の論文であれば、単純計算で8万円以上かかることになりますが、納期を急いだり、他にオプションを付加したりすると料金はさらに高くなります。

正確な金額を知るためには、必要なサービスを明確にして見積りを依頼することが大切です。

翻訳サービス業者に論運の翻訳を依頼するメリット

翻訳サービスを依頼するメリットは、日本語の論文を英語に訳す手間を省けるだけではありません。
翻訳サービスを利用して得られるリットには、次のようなものがあります。

負担が減り研究に専念できる

英語論文のワード数は、研究内容や投稿するジャーナルによっても違いますが、通常4,000ワード~6,000ワード以内となっています。

英語を母国語としない日本人にとって、それだけのワード数を一語一句間違えずに英語に訳してまとめていくには、かなりの時間と労力が必要です。
翻訳者は翻訳を専門に行うプロですから、翻訳のクオリティはもちろんのこと、作業もスピーディです。

翻訳サービスを活用すれば、英語で論文を書く負担が減り、研究者にとって最も重要である研究に専念できます。

そもそもジャーナルに英語論文を掲載するためには、研究内容の新規性とオリジナリティが求められます。
苦手な英語に時間を費やすより、研究に時間を費やしたほうが、ジャーナル掲載への近道といえるでしょう。

英語論文に適した英語に訳してもらえる

日本語でも、日常会話、ビジネス文書、学術論文で異なるように、英語論文にも日常会話とは違う英語が使われます。
英語論文に使われる英語は「アカデミックイングリッシュ」で、学術論文特有の言い回しもあります。

翻訳サービス業者に依頼すれば、英語論文に適した英語に訳してもらえます。

英語が得意でも「アカデミックイングリッシュ」に慣れていない人は、翻訳サービスを活用することをおすすめします。

ジャーナルの採択率を上げられる

ジャーナルに英語論文を掲載するためには、投稿規定に沿って英語論文を執筆するのが条件です。
ジャーナルの審査員は数多くの英語論文を読むため、投稿規定を守らなかったという理由だけで、弾かれてしまう可能性もあります。

前項で記載したように、翻訳サービスには、英語論文自体のクオリティやジャーナルの採択率を上げるための豊富なサービスが用意されています。

ジャーナルの英語論文の採択率は平均的なジャーナルで約50%、一流のジャーナルになると約10%という狭き門です。

翻訳サービス業者や校正業者を利用したほうが、採択率が良いというデータもありますから、ジャーナルの採択率を上げたい方は、翻訳サービスを活用することをご検討ください。

翻訳サービス業者の選び方とチェックポイント

翻訳サービス業者は複数ありますから、 初めて利用する方は業者の選び方がわからず、悩まれる方も多いのではないでしょうか。

ここでは、翻訳サービス業者の選び方とチェックポイントをご紹介します。

【翻訳サービス業者の選び方1】業者の得意分野と実績

翻訳サービス業者にはそれぞれ得意分野があり、対応している分野はホームページで確認できます。

幅広い分野に対応している翻訳サービス業者もありますが、特殊な分野の翻訳を依頼する場合は、その分野に特化した翻訳サービス業者のほうがクオリティの高い翻訳を期待できます。

翻訳サービス業者の歴史と、実績も重要です。

開業から歴史が長く実績の豊富な翻訳サービス業者は、多くの人に支持されていることを意味します。
優秀な翻訳者が独立開業する場合もあるため、歴史が浅い業者が良くないわけではありませんが、 初めて依頼する場合は歴史が長く実績の豊富な業者のほうが安心です。

実績についてもホームページで確認できることが多いので、対応可能な専門分野と合わせて確認しましょう。

【翻訳サービス業者の選び方2】ネイティブチェックの有無

ネイティブチェックとは、英語を母国語とした翻訳者による文章チェックのことです。

ネイティブチェックがあればよりわかりやすく自然な文章に仕上がり、文化に起因する誤訳がないかもチェックしてもらえます。

翻訳サービス業者によっては、翻訳の後にネイティブチェックを行い、日英バイリンガルのクロスチェッカーを行った後に、再度ネイティブチェックを行っています。

反対に、ネイティブチェックというだけで専門知識のない人がチェックを行っていることもありますから、ご注意ください。

【翻訳サービス業者の選び方3】翻訳以外のサービス内容

翻訳以外のサービスはプランに含まれていることもありますが、オプションであることも少なくありません。

オプションの場合は別途料金が発生し、予算オーバーになってしまうこともありますから、プランのなかに必要サービスが全て含まれているか確認することが大事です。

当然のことながら、サービス内容が充実すればその分料金は高くなります。

サービスは、必要なものだけあれば十分です。
サービス内容をしっかりチェックすることで、費用を安く抑えることにも役立ちます。

【翻訳サービス業者の選び方4】料金システムと最低料金

翻訳料金は一般的に「文章の文字数×単価」で計算されます。

費用を安く抑えたい方は、単価の安いところを選べば良いですが、あまりにも単価が安い場合は、翻訳のクオリティが悪かったり、ジャーナル投稿に必要となる構成費用や作業費用が別途請求されたりすることもあるため、注意しましょう。

文字数が少なければ費用は安くなりますが、翻訳サービス業者によっては最低料金を設定しています。
最低料金が高い場合、文字数が少ないと割高になってしまいますから、論文のボリュームによっては最低料金も確認しておく方がよいでしょう。

【翻訳サービス業者の選び方5】納期と対応の速さ

料金が安かったり、翻訳以外のサービスが多く含まれていたりする場合は、納期が遅くなっていることが多いです。

翻訳した英語論文に満足できなかった場合には再翻訳を依頼できますが、納期が遅いとスケジュール的に再翻訳が依頼できなくなることも考えられます。

特に英語論文の提出期限や締め切りがある場合は、必ず納期もチェックしてください。

翻訳サービス業者の対応の速さも、重要なポイント。
仕事を依頼するまでのやり取りに時間がかかれば、納期も遅くなります。

対応の速さは、複数の業者に同じ質問や問い合わせをして、レスポンスの速さを比較すると良いです。

納期の遅いところは料金を安くしているため、時間に余裕があり費用を安く抑えたい方は、あえて納期の遅いところを選ぶという方法もあります。

翻訳サービス業者を選ぶ時の注意点

最後に、翻訳サービス業者を選ぶ時の注意点をご説明いたします。

保証やアフターサービスを確認する

翻訳サービス業者によっては、翻訳者に直接質問ができたり、元原稿の修正ができたりする保証サービスを行っています。

アフターサービスが充実していれば、納品後の無料で修正や再翻訳を依頼することも可能です。

ただし、サービスは無償と有償があり、期間も無期限と期限付きがあります。
保証付きの翻訳サービスを選ぶ際は、保証内容もしっかりと確認しておきましょう。

複数の翻訳サービス業者に見積りを依頼する

初めて翻訳サービス業者を利用する方は、見積りを依頼してもその金額が安いのか高いのか判断するのは難しいでしょう。

適正価格を知り、自分に合った翻訳サービス業者とプランを選ぶためにも、複数の翻訳業者に見積りを依頼して、比較することが大切です。

翻訳サービス業者の見積り一括サイトを活用すれば、一度の入力で複数の業者に見積りを依頼することができます。

まとめ

今回は、翻訳サービスのメリットと、翻訳サービス業者の選び方などについてご説明いたしました。

英語論文に使われる英語は「アカデミックイングリッシュ」で、学術論文特有の言い回しもありますから、英語が得意な方でも英語論文を執筆することは簡単ではありません。

翻訳サービス業者に翻訳を依頼すれば、翻訳をする手間が省け、その時間を使って研究に専念できます。
ネイティブチェックでより自然な英語を使った英語論文になるだけでなく、サービス内容によっては英語論文自体のクオリティを向上させることが可能です。

ジャーナルに英語論文を投稿する場合は、ジャーナルの投稿規定に合わせてレイアウトやフォーマットの調整も依頼ができ、ジャーナルの採択率を上げることもできますから、英語で論文を執筆するのは難しいと感じている肩は、翻訳サービスの利用も考えてみてはいかがでしょう。

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