英語論文をジャーナルに投稿する流れと受理率を上げるためのポイント

公開日:2018.04.27
最終更新日:2023.09.06

ジャーナルに英語論文を掲載すると、同じ分野に従事する研究者に情報を提供でき、研究者としての地位も確立できます。
しかし、いざ英語で論文を執筆して投稿しようとしても、投稿するまでの流れが全くわからないため、何から手をつけて良いか戸惑う方も多いのではないでしょうか。

英語論文の投稿は手間のかかる作業ですから、執筆に取り組む前に投稿するまでの流れと、受理率を上げるためのポイントを把握しておきましょう。

英文論文を執筆する前に確認しておきたいこと

英語論文を投稿するまでの流れを知らない人は、下調べなしにすぐに執筆に取りかかりがちです。

しかし、執筆を開始した後に、論文の内容や執筆の仕方を変えなくてはならなくなると、また最初からやり直さなくてはならなくなり、作業に時間がかかってしまいます。

英語論文の執筆をよりスムーズに進めるために、以下のことを確認しておくと良いです。

英語論文のテーマと内容

クオリティの高い英語論文を執筆するためには情報収集が必要不可欠ですが、情報は量ではなく、英文論文の執筆に役立つ確かな情報であることが重要です。
情報収集がしやすくするために、英語論文のテーマと内容を決めておきます。

自身の研究分野の執筆なので、今更論文のテーマについて考えなくてもいい、ということはありません。
1つの論文の中でさらにテーマをしぼって、必要な情報のみをいれて論理的に書いていくことが必要なのです。

また、情報収集は一日ではできません。
英語論文のテーマと内容が明確になっていれば、常にアンテナを張り巡らせることができ、有益な情報を逃さずキャッチすることが可能です。

英語論文を投稿するジャーナル

投稿するジャーナルは英語論文が完成してから選べば良いと思われるかもしれませんが、投稿するジャーナルは執筆する前に選んでおいたほうが良いです。

なぜなら、ジャーナルを選定して既に掲載されている英語論文を読んでおけば、ジャーナルが好むテーマや文体を確認でき、執筆がしやすくなるからです。

英語論文を投稿するジャーナルを選ぶ時のポイントは次の3つです。

【ハゲタカジャーナルに気をつける】
ジャーナルのなかには、掲載料収入を目的とした「ハゲタカジャーナル (粗悪学術誌)」が存在します。
ハゲタカジャーナルに投稿してしまうと、不当な掲載料を請求されるだけでなく、ご自身の評価も下がるので注意が必要です。

【メインテーマを確認する】
どんなに素晴らしい英語論文でも、ジャーナルのメインテーマと合致していないとアクセプトされません。
英語論文の受理率を高めるために、必ずジャーナルのメインテーマを確認しましょう。

【検索サイトを活用する】
ジャーナルを探す際は、Journal Guide (www.journalguide.com)のような無料の検索サイトが便利です。

ジャーナルの投稿規定とフォーマット

ジャーナルには特有の投稿規定があり、文章のフォーマットだけでなく、挿入する図表(Figure、Table)や参考文献(Reference)の形式にも細かいルールがあります。

せっかく英語論文を完成させても、投稿規定に合ってないと修正しなくてはならなくなったり、最悪のケースではリジェクトされてしまったりするので、投稿規定とフォーマットも必ず把握しておくことも大切です。

英語論文の執筆に関する情報収集

日本語でも、同じ内容での美しい文章と読みづらい文章があるように、英語論文を執筆する際もよりクオリティの高い文章に仕上げるためにはテクニックが必要です。

文章の書き方もそうですが、論文の構成によっても論文の審査員への印象が変わるので、英語論文の執筆に関する情報収集もしておくと執筆の際に役立ちます。

英語論文の構成の仕方や書き方を詳しく学べる書籍だけでなく、英語論文の執筆方法を掲載しているサイトもあるので、ぜひ参考にしてみてください。

英語論文の執筆に必要な下準備

次に、英語論文の執筆に必要な下準備に取り掛かります。
英語論文を執筆する前に行っておきたいことは、次の3つです。

データの整理を行う

「データの整理」とは、具体的には実験などで収集したデータを数値化し、その数値から平均値を出したり傾向を分析したりすることです。
「データの整理」はまとめて行うと手間がかかるので、定期的に行っておくと良いでしょう。

英語論文に必要なのは実験のデータそのものではあくまでも英語論文で述べたいことの根拠となる資料で、難しい統計を使ったり、細かな図表まで作成したりする必要はありません。

また、実験データ全てを参考資料として、載せる必要もありません。
論理的に述べるために必要なデータを整理して、論文を読む人に伝わるようにしましょう。

そのためにも、日ごろからデータの整理を行なうことが大切です。

執筆に役立つ文献を収集する

英語論文を執筆する際は、研究の意義や歴史的背景を理解しておくことも重要です。
そのためには、類似研究の文献を収集する必要があります。

文献を収集し読み込むことは、ジャーナルに投稿する研究や実験結果に、新規性があるか判断するのにも役立ちます。

しかしながら、英語論文に必要な文献の数は膨大で、短期間では読みきれないので、文献の収集には多くの時間を費やします。
すぐに読めないものは、わかりやすいように分類しておくことをおすすめします。

英語論文のセミナーやワークショップに参加する

英語論文の執筆方法や、アクセプトされやすい英語論文の書き方が学べるセミナーやワークショップも開催されています。
学生向けのものだけでなく、教員や研究員向けのものもあるので、探していってみるのもいいでしょう。

書物で学ぶのとは異なり、セミナーやワークショップでは質疑応答ができるので、英語論文でわからないことを講師に直接質問して解決できます。

英語論文の執筆から投稿・掲載までの流れ

英語論文を執筆する準備が整ったので、英語論文の執筆から投稿・掲載までの流れをご説明します。

初めて英語論文を執筆する方は、なかなかうまくいかないこともありますが、流れに沿って作業を行えば、スムーズに作業を行なえるでしょう。

英語論文の執筆から投稿・掲載までの流れは、次のとおりです。

【投稿までの流れ1】英語論文を執筆する

英語論文の執筆の仕方は、実際は人によって異なりますが、ここでは、一般的な英語論文の執筆の流れをご紹介いたします。

【投稿までの流れ1-1】アウトラインを作る

英語論文の執筆で最初に行うのが、「アウトライン」の作成です。

「アウトライン」は文章の構成のようなもので、事前に作成しておくことで、研究内容と研究結果をより明確に説明する流れをイメージしやすくなります。

「アウトライン」は論文によって多少異なりますが、一般的に以下のように組み立てられています。

  • タイトル(Title)
  • 要約(Abstract)
  • 序論(Introduction)
  • 材料とメソッド(Material and Method)
  • 結果(Results)
  • 考察(Discussion)
  • 結論(Conclusions)
  • 謝辞(Acknowledged)
  • 参考文献(Reference)
  • 付録(Appendices)

【投稿までの流れ1-2】図表を作る

研究結果をよりわかりやすく説明するためには、図表も必要不可欠。アウトラインに従い、挿入する図表を作成します。
図表作成には、Adobeの「Illustrator」が便利です。

【投稿までの流れ1-3】本文を執筆する

執筆は順番にこだわる必要はないので、着手しやすいところから執筆すれば良いですが、「概要(Abstract)だけは、最後に書いたほうがまとめやすいです。

ジャーナルによって文字数が決められているので、文字の配分を意識して執筆することも重要なポイントになります。

【投稿までの流れ1-4】図表を挿入する

図表の挿入はジャーナルの投稿規定に行いますが、英語論文の図表の位置は一般的にページの中央で、データを言及した箇所、可能であれば言及した段落のすぐ下が望ましいです。

図表の数についても注意が必要です。
図表の数にまで規定があることは少ないですが、多すぎると読みづらくなってしまうので、必要最低限に留めましょう。

【投稿までの流れ2】フォーマット調整を行う

ジャーナルを選ぶ際に、投稿するジャーナルの投稿規定を確認しているかと思いますが、投稿する前に再度投稿規定をチェックして、フォーマットの調整を行います。

英語論文の投稿の手続きはオンライン上で行うのが通常です。
画面上にも投稿規定が記載されているので、必ず確認してください。

フォーマットの調整は投稿するジャーナルによって異なりますが、調整が必要な主な箇所は以下のとおりです。

  • タイトルページの記載
  • 項目
  • 引用スタイル
  • フォントサイズ
  • 行間
  • ページの余白
  • レイアウト
  • 段落スタイル等

【投稿までの流れ3】投稿して採用結果を待つ

英語論文の採用結果は、責任著者(Corresponding author)もしくは共著者全員に届きます。
「Accept」と記載されていれば採用です。

アクセプト後には、ジャーナルの掲載に必要な「License Agreement(著者全員のサインが必要)」と「校正作業」を行います。

「校正作業」が終わり著者に最終版の校正原稿が届いたら、それ以降は原則、校正はできないことを覚えておきましょう。

英語論文のアクセプトから掲載までの期間もジャーナルによって異なりますが、通常1ヶ月ぐらいです。

英語論文の受理率をアップさせるポイント

通常のジャーナルの受理率は約50%、一流のジャーナルになると受理率は約10%ともいわれます。
同じ内容の英語論文でもポイントを押さえて執筆すれば、受理率を上げることが可能です。

英語論文の受理率を上げるポイントを見てみましょう。

ポイントを押さえてカバーレターを作成する

カバーレターは英語論文と一緒に提出するものですが、英語論文を執筆する人の中には添え状ぐらいにしか思っていないこと人も多いようです。

しかし、カバーレターは審査員が最初に読むものであり、審査員の興味を引けるか引けないかはカバーレターにかかっているといっても過言ではありません。

人気のジャーナルの場合、カバーレターを読んだだけでリジェクトとなる可能性もありますから、カバーレターは慎重に作成してください。

審査員は膨大な英語論文を読んでいるので、カバーレターは簡潔にまとめることが大前提です。
そして、受理率を上げるためには、その限られた文章のなかで、どれだけ研究の新規性と研究結果の重要性をアピールできるかが重要になります。

ただ、完結にまとめるのが苦手だ、よりアピールできるカバーレターにしたいという人は、専門業者に依頼するのもおすすめです。

専門業者に英文校正を依頼する

英語を母国語としない人にとって、英語論文を執筆することは簡単ではありません。
英文校正業者に依頼すれば、論文のスペルや文法をチェック、投稿規定に合わせたフォーマットの調整までしてもらえます。

サービス内容によっては、ジャーナルが好む文体を意識した上で、論文の倫理性も高めてくれるので、英語論文のクオリティが上がり、受理率を確実にアップさせることができます。

英語論文の校正には専門知識が必要ですから、英文校正を依頼するときは英語論文の専門分野に強い英文校正業者を選ぶようにしてください。

英文論文の受理率をアップさせるなら、Edanz(エダンズ)がおすすめ。
一般的な英語論文の受理率は44%に対し、Edanz(エダンズ)は75%を誇ります。

主な校正内容は、「文法、数量の表記」「読みやすさの向上」「科学的表現の適切性」「研究の新規・有用性の明確化」「ジャーナル投稿規定チェック」とサービスが充実しているのが特徴です。
オプションで「カバーレター」や「アブストラクト」の作成を依頼することもできます。

まとめ

英語論文を投稿する流れは、ご紹介したように「下準備→執筆→投稿→掲載」という流れになっていきます。

英語論文は、慣れれば自分の執筆のスタイルを確立することができますが、それまでは一般的な流れに従って執筆するとよいでしょう。

特に事前確認や準備を怠ると、二度手間になり執筆に時間がかかってしまいます。

初めて英語論文を執筆して投稿する方は、ここでご紹介した流れを確認していただき、必要に応じて専門業者のサービスを活用しましょう。

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