英語論文の構成に関する基礎知識と論文を上手に仕上げるためのヒント

公開日:2023.03.14

英語論文の執筆につまずく人のなかには、英語論文の構成をよく理解していない人が多いです。
構成とは論文の骨組みのようなものですから、構成を理解せずに英語論文を執筆することはできません。

反対にいえば、英語の論文の構成を理解すれば、英語論文の執筆が初めての方も論文作成作業も進めやすくなります。

今回は、英語論文の構成の特徴、各構成を上手に書くためのコツについて解説していきます。

英語論文の構成の特徴

まず知っておきたいことは、研究成果を発表する学術論文を執筆する場合、日本語論文と英語論文では、論文の展開が異なるということです。
日本語論文は、「理由や根拠→結論」となりますが、英語論文はその真逆で「結論→理由や根拠」となるのが一般的です。
英語論文は10個の構成から成り立っています。一般的な英語論文の構成は、次のとおりです。

  • タイトル(Title)
  • 要約(Abstract)
  • 序論(Introduction)
  • 材料とメソッド(Material and Method)
  • 結果(Results)
  • 考察(Discussion)
  • 結論(Conclusions)
  • 謝辞(Acknowledged)
  • 参考文献(Reference)
  • 付録(Appendices)

次の章では、各構成部分について詳しく見ていくとともに、それぞれの構成をまとめるヒントをお伝えしていきます。

英語論文の各構成の内容と上手くまとめるためのヒント

英語の論文は構成ごとに、記載する内容が明確に異なります。
ここでは、各構成に執筆する内容と、上手にまとめるためのコツやヒントをご紹介いたします。

タイトル(Title):論文内容を1文でまとめる

読者が最初に目にするものです。
この部分で読んでいる人の興味を引けないと英語論文を読んでもらえないので、とても大事な箇所といえます。

ワード数が限られているため、その限られたワード数のなかでいかに研究成果の重要ポイントを正確に伝えるのかがポイント。

幅広い人に英語論文を読んでもらうためには、その分野に関する知識がない一般の方でも理解できるように、作成することも大事です。
タイトルを作成する時のポイントをまとめると、次のとおりです。

  • 10ワードから12ワードで作成する
  • 論文のテーマや目的、重要性などがわかる情報をタイトルの最初に入れる
  • 専門用語を避ける
  • 検索キーワードを意識する
  • 複数の意味合いのある単語を避ける
  • 疑問形は使わない

要約(Abstract):論文の内容をまとめる

英語論文の本文を、200ワードから300ワードにまとめる部分です。
要約は、オンラインのデータベースの検索に利用されたり、要約のみを編集して「抄録集」として配布されたりすることもあります。

ジャーナルに掲載する場合は、編集者や審査員はまずは要約を読んで掲載するか検討しますから、簡潔でわかりやすく、読者に魅力を十分伝えられる内容であることが重要です。

記載する内容には、「研究目的」「研究方法」「研究結果」「結論」の4つを盛り込みます。
要約は、英語論文の最初に位置しますが、英語論文の要であり、論文の内容をすべて盛り込むため、最後に書くとまとめやすいです。

要約の執筆形式には、見出し付きの「structured」と、見出しなしの「unstructured」があります。

序論(Introduction):論文の目的や背景を示す

研究目的、内容、研究の背景や重要性などをまとめる部分。

書き方としては、最初に研究の概要を説明して、問題を解決するために用いた検証方法を紹介し、最後に研究成果が与える影響や、利点などを言及します。
必要に応じて、先行研究を引用することも可能です。

序論では「弁証法」が用いられます。
「弁証法」とは、相反する事柄や矛盾する主張を合わせて、より高い結論へ導くものです。

具体的には、次のような流れになります。

正:〇〇が問題視され、今まで多くの研究者が研究に取り組んできた。
反:しかしながら、〇〇の問題点には気づかず、研究がなされることはなかった。
合:本研究の目的は〇〇であり、(研究や研究内容を記載)を行う。

なお、序論の書き方については下記で詳細に触れています。

材料とメソッド(Material and Method):研究の詳細を記述する

ここでは、「研究方法」「問題を検証した方法」を過去形で記述します。

記載する内容は、「研究デザイン」「研究対象」「データ収集」「データ分析」などです。
実験を行った場合には、使用した装置や薬品名、製造会社などを記載。

よく知られている方法を用いた場合は、詳細に書かずに、文献を記載したり1部を引用したりすることも可能です。

結果(Results):論文で最も重要な研究成果の記載

行った実験や検証の結果、および結果からわかったことを、図、表、写真、データなどを使って過去形で記述します。

「材料とメソッド」で記述した方法で行った研究で得られた事実が、「序論」で記載した問題をどのように解決できるかがわかる箇所です。

論理の展開が含まれ、読者が納得する推論や解釈を書く必要がありますから、論文のなかで最も重要な箇所といえます。

二次的な問題は次の「考察」で記述するため、序論で記載した問題の直接的に関係する内容は「結果」で行い、添付資料の説明を行っておくのがポイントです。

あくまでも研究の結果得られた新たな事実を記載しますから、過去の研究や一般的な事項を詳しく記載することは避け、1文に程度にまとめましょう。

図表を挿入する場合は、通し番号と簡単な説明(caption)を記載します。

考察(Discussion):研究結果の検討する

得られた研究結果がどういった意味を持つのか、どのような価値をもつのかについて記載する箇所。
具体的内容は、「研究結果の意義」「他の研究との比較および関連」「研究からわかった新しい視点や課題」などです。

注意したいのが、「序論」や「結果」で記載した内容を繰り返さないようにすることです。

研究の結果については「序論」と「結果」で述べられているので、ここでは得られた結果がどういうものだったか、例えば、今後こういった研究も必要なのではないか、他の研究と比べてここが足りなかったのではないかなどを記載しましょう。

自身の研究に関する事だけではなく、研究分野の幅広い知識やニーズを把握していないと執筆が難しくなります。

結論(Conclusions):研究結果の重要性を示す

英語論文をまとめ、研究の主張を強調し、研究結果の重要性を示します。
本文を読んだ読者が最終的に読む箇所ですから、序論よりも具体的な内容を記述します。

「議論」を踏まえた上での「結論」であり、これまでに記載した内容を簡潔にまとめる箇所ですから、結論で新しい考え方や新事実などは記載しないでください。

謝辞(Acknowledged):研究の協力者と支援者を記載する

研究をするにあたって、協力してくれたり、アドバイスしてくれたり、補助金や寄付金を出してくれたりした個人名や組織名を記載する箇所です。

研究する場所を提供してもらった場合には、施設名や機関名を記載します。

感謝の意を表するのはもちろんのこと、権威ある名前や名称を記載することで、信頼性を担保でき、収支報告書の証明にもなるメリットがあります。

参考文献(Reference):過去の論文を記載する

英語論文を執筆するのに使用したり、参考にしたりした論文、書籍、著者名、ページなどを記述する箇所です。

参考文献を記載する目的には「著作権を守る」の他に、「信頼性を高める」「資料を検索できるようにする」ということもあります。

参考文献を書く際は以下のポイントに注意してください。

  • 著者の名字をアルファベット順に記載
  • 同じ名字の著者がいる場合は名前でアルファベット順に記載
  • 著者が複数人いる場合(数人で本や論文を出しているなど)は、1人目の著者を基準にする
  • 同じ著者の文献を複数使用する場合は、発行年が古い物から順に記載

なお、参考文献の記載方法を間違えると盗作と疑われ可能性がありますので注意しましょう。

特に注意したいのが、引用の書き方です。
引用した場合は、論文の文中にも記載する必要はありますが、「参考文献」でも記載するようにしましょう。

引用の書き方には「Paraphrasing」と「Quoting」があり、それぞれの書き方は以下のとおりです。

Paraphrasing 記載されている文章を、自分の言葉でまとめる方法
Quoting 引用する部分を、原文どおり記載する方法

著者名は「et al.」、論文や書籍は「etc.」を使って、省略することが可能です。

付録(Appendices):補足資料の情報を提供する

本文で載せられなかった、動画、表、グラフ、データなどの資料を補足します。

資料が複数ある場合は、連番付けします。

本文を読んでいる際にこれらの資料が見られるように、「See Appendix 1(付録1を参照)」のように記述し、付録の資料と対応させておくのがポイントです。

英語論文のクオリティを上げるためのポイント

英語論文をより質の高いものに仕上げるためには、以下の2点も重要です。

英文法と英語論文特有の表現方法をマスターする

わかりやすい英語論文に仕上げるためには、「時制」「基本5文型」「品詞」「関係代名詞・関係副詞」「句読点」といった、英語文法に関する基本的な知識を身に付けておく必要があります。
英語論文特有の表現方法を、マスターしておくことも大切です。

詳しくは、以下のコラムで詳しく記載していますから、ぜひ参考にしてください。

ジャーナルのスタイルガイドを事前に確認する

ここで、ご紹介いたしました英語論文の構成と書き方のコツは、一般的なものです。
ジャーナルに英語論文を掲載する場合には、ジャーナルの投稿規定に従って、英語論文を執筆しなくてはいけません。

各ジャーナルではスタイルガイドで細かいルールを設定しています。
具体的には、表記スタイル、フォントの種類とサイズ、単語数、数字の表記方法などです。

投稿規定を守らないと、英語論文を読まれずにリジェクトされる可能性があります。
英語論文が完成してから修正すると二度手間になりますから、英語論文の執筆に取りかかる前に確認しておきましょう。

さらに、各ジャーナルには好む文体や表現方法があります。
投稿するジャーナルの好みを意識して執筆することで、英語論文の採択率を上げることが可能です。
日ごろからジャーナルに投稿されている英語論文を読んで、ジャーナルの文章に慣れておくと良いです。

必要に応じて英文校正業者のサービスを活用する

英語論文に使われるのは「アカデミックイングリッシュ」です。

構成だけでなく、「アカデミックイングリッシュ」で英語論文特有の言い回しを意識しながら、専門性の高い研究結果を英語論文にまとめるのは容易なことではありません。

英語の良し悪しは、ジャーナルの採択率を左右します。
文法や誤字などのミスをチェックしたい方、より適切な表現に直したい方、投稿前に英語論文の最終チェックをしたい方は、英語校正業者のサービスを活用することをおすすめします。

英語校正業者には、スペルミスや英語表現の修正だけでなく、ジャーナルの投稿規定に合わせたレイアウトやフォーマットの調整も依頼することも可能です。

英語校正業者のプランによっては、研究の新規性、有用性を明確にできる論文に校正してもらえ、英語論文自体のクオリティを上げられます。

英語校正業者なら一般的な英語論文の採択率と比較して、ジャーナルでの採択率が1.7倍を誇る「エダンズ」がおすすめです。

エダンズでは、納期が最短1営業日で、価格は1ワード13.2円(税込)~と、価格もリーズナブルです。

お得な初回割引や会員割引もありから、ぜひご活用ください。

まとめ

一般的な英語論文は10構成で成り立っていて、日本語論文とは異なり、結論を先に記述してから理由や根拠を記載します。

できるだけ多くの人に読んでもらうためには、インパクトがあり魅力的な研究内容であることはもちろんですが、各ジャーナルのルールに沿いつつも、今回ご紹介したポイントを押さえて各構成を執筆することが重要です。

英語論文は「アカデミックイングリッシュ」を使うため特有の言い回しがあります。
英語に自信がない方は、論文の校正に実績がある業者に英文校正を依頼することがおすすめです。

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