英語論文を読むためのヒントとコツ!

公開日:2022.09.14

英語論文を読むのに慣れていないと、どこから読み始めたらいいのか分からない、辞書を引きながら読んでいたらなかなか進まない、などのお悩みを持つ方は多いかと思います。
実は英語論文の読み方にはコツがあり、コツをつかめばより速く正確に読めるようになります。


本記事では、効率の良い英語論文の読み方、要旨をつかむのに便利なヒント、英語論文の「キーワード」の探し方、英英辞典がお勧めである理由などをご説明します。

英語論文の読み方のコツ

英語論文を読むのに慣れない内は、最初からていねいに読んでいては時間ばかりかかり、英語論文の主題が分からなくなってきた、ということもあるかと思います。

英語論文を読む順番などの読み方のコツを知っていれば、比較的読みやすくなります。
英語論文は各構成部分に書かれる内容がだいたい決まっているもの。

それぞれどんなことが書かれているのか、どんな順番で読んでいったら良いのか、以下でご紹介します。

英語論文の基本の読み方として、以下の順番で読むのがお勧めです。

  1. 「アブストラクト」(要旨)でどんな内容の論文なのか知る
  2. 「イントロダクション」(序論)で背景知識や研究課題を把握する
  3. 「サマリーまたはコンクルージョン」(結論)で研究結果を知る
  4. 「本文やディスカッション」(考察)を読んで詳細を学ぶ

また、必ずしもすべての英語論文について全体を読む必要はなく、英語論文の読み方は必要性や状況に応じて以下のように変えることもあります。

  • 「アブストラクト」だけ読む
  • 「アブストラクト」と「イントロダクション」を読む
  • 「アブストラクト」と「イントロダクション」と「サマリーまたはコンクルージョン」を読む

英語論文はアブストラクトをまず読む

アブストラクトは英語論文の要旨であり、最初に読むべき部分です。
基本的に1段落にまとまっており、研究の目的と範囲、採用した研究方法、研究結果と結論などが一通り書かれています。

アブストラクトを読めば英語論文の全体像と大意が分かるため、読み手はまずこのアブストラクトを読んで、自分の研究に関係のある英語論文なのか、読むに値する英語論文なのかを判断することができます。

また、英語論文の読み方のヒントとして、アブストラクトの内容を頭に入れておけば、他の部分を読み進める時に英語論文の骨子を見失いにくくなります。

イントロダクションに書かれていること

イントロダクションには、英語論文の研究分野の背景知識と先行研究の紹介、英語論文の研究課題、場合によっては、研究方法や結論の一部も書かれています。

イントロダクションは広いトピック → 狭いトピックの順番で書かれています。
つまり、研究分野全体の話(背景知識)から徐々に範囲を狭めながら、先行研究の紹介、そしてその英語論文が扱う特定のトピックへとつながっていきます。

この流れを踏まえて、イントロダクションを読んでいきましょう。

イントロダクションを読むと、関連する研究分野の背景知識や先行研究を知ることができ、また専門用語の解説も読むことができます。

イントロダクションの読み方として、重要な専門用語の意味などはメモしておくことをお勧めします。
英語論文の他の部分を読み進める際により理解しやすくなります。

サマリーやコンクルージョンに書かれていること

サマリーやコンクルージョンは研究の成果が示された部分です。
研究の成果等はアブストラクトでも触れられていることが多いですが、ここではより詳しく書かれています。

具体的には、イントロダクションで示された研究課題に対する答え、それが研究分野全体にどのように貢献するか、今後さらなる研究を要する部分などが示されています。

サマリーやコンクルージョンの読み方としては、研究課題に対する答えを見つけようとしながら読むのがお勧めです。

本文やディスカッションに書かれていること

本文やディスカッションには研究内容の詳細が書かれており、「研究方法」、「研究結果」、「ディスカッション」部分に分かれていることもあります。

「研究方法」では採用された実験や調査方法が詳細に記述され、「研究結果」は実験や調査の結果が書かれています。
「ディスカッション」は狭いトピック → 広いトピックの順番で書かれており、英語論文の研究結果の考察と、研究結果の先行研究や研究分野への貢献度などが書かれています。

英語論文の中で本文やディスカッションがたいてい一番長い部分になるので、英語論文の全体像を見失わないよう、「アブストラクト」、「イントロダクション」、「サマリーやコンクルージョン」で読んだ内容を念頭に置きながら読んでいくと良いでしょう。

また、時間が限られている場合の本文やディスカッションの読み方としては、大事な情報がまとめられていることが多い図表とそれに関する説明文に目を通して、大まかな内容を把握することをお勧めします。

英語論文の内容を理解するヒント

英語論文の内容を素早く正確に理解するための読み方のヒントは、各段落の「トピックセンテンス」と「キーワード」に着目することです。
また、英文速読技術である「スキミング」および「スキャニング」という2つのスキルについてもご紹介します。

各段落のトピックセンテンスを見つける

「トピックセンテンス」はその段落の要旨を表す1文です。

大まかに英語論文の内容を把握したい場合の読み方として、各段落のトピックセンテンスを読んでいく方法があります。
トピックセンテンスは、たいてい段落の1文目または段落の最後の文です。

各段落のその他の部分には、トピックセンテンスに書かれた内容の例や詳細が書かれています。
トピックセンテンスを念頭に置きながら読むと、理解しやすくなります。

英語論文のキーワードを探す

「キーワード」は英語論文に何度も出てくる重要な言葉です。

キーワードに注意しながら読むことで、大意を見失わずに読んでいくことがきできるでしょう。
キーワードは英語論文の主題に深く関連する言葉であるため、たいてい「アブストラクト」や「イントロダクション」に含まれています。

また、専門的な用語であれば「イントロダクション」に定義が書かれています。

英語論文を読むための2つのスキル

学生や研究者の方は、短時間で大量の英語論文を読む必要があるケースが多いかと思います。
そこで、英語論文を素早く読むための2つの読み方「スキミング」と「スキャニング」についてもご紹介します。

まず「スキミング」ですが、これはすべての文を読まずに飛ばし読みをすることで、短時間で大意を把握する読み方です。
上述したような「トピックセンテンス」を中心に読んでいくと良いでしょう。

一方「スキャニング」は、たとえば「A」についての情報を知りたい時、文中の「A」を見つけるための読み方です。
英文を読むと言うより特定の語句を見つけるために目を通すという感じです。

そして、探している語句が見つかったらその語句の前後を読んで欲しい情報を読み取ります。
特定の情報を探すために英語論文を読む場合に便利なスキルです。

「スキミング」も「スキャニング」も大量の英語論文を読む際の強力な武器となります。
日本語の文章を読む時には無意識にこのような読み方をしていることもあるかと思います。

英語論文についても、「スキミング」と「スキャニング」という2つのスキルを意識して読むようにすると、英語論文を読むスピードが上がってきます。

英語論文の単語の意味は英英辞典で調べる

英文を読む際、分からない語句はすべて辞書で意味を調べながら読むという方も多いのではないでしょうか。
英語の語彙を増やすなど英語学習目的で英文を読む場合はそれでもよいですが、情報を得るために英語論文を読む場合はある程度スピードが要求されます。

そこで、意味を推測できるものは辞書を引かずに読み進め、どうしても意味を把握しておきたい語句だけ辞書を引く読み方をお勧めします。

また、専門用語は英語論文のイントロダクションなどで定義されている場合が多いものです。
辞書を引かないで済む場合は引かないでどんどん読み進めましょう。

また、辞書を引く場合でも、読んでいる最中に辞書を引きながら読むと時間がかかって全体の意味を把握しづらくなります。

可能であれば、まずは辞書を引かずにある程度まとまった量の英文を読んでみましょう。
その時気になった単語やフレーズにマーカーなどで印を付けておき、一通り読み終わってから辞書を引く読み方の方が、スピーディに読み進められ論文のおおよその趣旨も把握しやすいと思います。

英語論文を読む際に使う辞書については、英和辞典より英英辞典の方がおすすめです。
英英辞典を使うのに慣れていない場合、英和辞典の方が日本語の定義を瞬時に把握できて便利なように思えるかもしれません。

ただ、英英辞典の方が、語句のニュアンスをつかみやすく、場合に応じた使い分け方も分かりやすいです。

たとえば、微妙にニュアンスの異なる2つの英語でも、和訳は同じというケースがあります。

  • claim
  • argue

という2つの単語の和訳は、「主張する」と同じ言葉になるため意味も同じように見えます。

ただ実際には、”claim”は「根拠なしに主張する」というニュアンスであり、”argue”は「根拠に基づいて主張する」というニュアンスがあります。
英語論文においてこのような違いは大きな意味を持つため、ニュアンスも含めて正しく意味を把握することが大切です。

また、英英辞典は英語で定義が書かれているため、辞書を引くだけで英語での説明の仕方など勉強になり、自分で英語論文を書く際にも役立ちます。

英語の語句を英英辞書で調べたら、プリントアウトした英語論文に定義を書き込んでもいいですし、可能であれば自分なりの単語帳をエクセルなどで作っておくことをお勧めします。
同じ研究分野の英語論文には同じ言葉が繰り返し出てくることが多いため、今後英語論文を読む際に役立ちます。

単語帳には、「英語の単語・語句」、「品詞」、「定義」、「例文」などを書いておくと良いでしょう。

英英辞書は従来の紙の辞書、オンラインディクショナリー、電子辞書など様々な形態で利用できます。
英語論文を紙ベースで読むことが多いのか、パソコンの画面上で読むことが多いのかによって、どちらの辞書の形態がいいのかは変わってくるでしょう。

ただ、英語論文を読みこなすのに必要な辞書は収録語数が多く、紙の辞書だと分厚く重いので使いづらいというデメリットがあります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
一件難しそうに見える英語論文ですが読み方にはコツがあります。

英語の授業で丁寧に英文を読んできた経験があると時間をかけてじっくり読むことには慣れていても、飛ばし読み等をしながら短時間で大量の英語論文を読むには慣れが必要です。

英語論文はたくさん読めば読むほど、読み方のコツがつかめて楽になっていきます。

本コラムに書かれた英語論文を読む順序を踏まえ、トピックセンテンス、キーワードに着目しながら、さらに「スキミング」や「スキャニング」という英文速読技術を取り入れるなどしてどんどん英語論文を読んでいきましょう。

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