英語論文を書く時のコツをご紹介!

公開日:2022.09.14

英語論文の書き方にはコツがあります。
英語論文を書き始める前に書き方の基本ルールを知っていれば、格段に書きやすくなります。


本記事では、正しい英文を書くためにマスターすべき英文法の基本、英語論文の構成、段落ごとのトピックセンテンス、英語論文の簡潔な書き方をご説明します。
次に、英語論文によく使われるフレーズや表現方法、書き上げた英語論文の見直し方についてご説明します。

正しい英語を書くため英文法を徹底的にマスターする

英語の口語表現では文法的に正しくない表現が使われることがある一方で、英語論文のようなフォーマルな英文では文法的に「正しい英語」で書くことが必須です。
また、英語論文では情報を正確に伝えることがとても大事ですが、文法的に間違った英語では意味まで異なってしまう場合があります。

以下のような基本的な英文法のルールをマスターしておくのが、正しい英語を書くためのコツです。

時制

英語の時制は12種類あります。それぞれどんな時に使われるのか確認しておきましょう。

<英語の時制12種類>

単純時制 進行形 完了形 完了進行形
現在形 現在進行形 現在完了形 現在完了進行形
過去形 過去進行形 過去完了形 過去完了進行形
未来形 未来進行形 未来完了形 未来完了進行形

 

英語論文では、「イントロダクション」以外は「過去形」で英文を書くことが多いです。
一方「イントロダクション」は研究分野の背景知識や先行研究結果を紹介するため、「現在形」を使うことが多いです。

基本5文型

英語の文型は以下のように5種類に分けられます。

<基本5文型>
S = 主語、V = 動詞、 O = 目的語、C = 補語

文型 例文
SV I ran.

(私は走った。)

SVO I took a test.

(私はテストを受けた。)

SVC I became a scientist.

(私は科学者になった)

SVOO I gave her a book.

(私は彼女に本をあげた。)

SVOC The present made him happy.

(そのプレゼントは彼を幸せにした。)

 

文型のそれぞれの要素に使われる単語の品詞は、主語と目的語には「名詞」、動詞には「動詞」、補語には「名詞」か「形容詞」です。なお、SVC文型では主語と補語がイコールの関係になり、SVOC文型では目的語と補語がイコールの関係になります。

品詞

品詞は上記の文型を理解する上でも重要な文法項目です。まずは以下の5種類を確実に理解しましょう。

<英語の品詞>

文型 用法 例文
名詞 物の名前、動作、抽象的な事柄を表す book, examination, happiness
動詞 動作や状態を表す run, live
形容詞 名詞を修飾する beautiful flower
副詞 動詞、形容詞、副詞を修飾する run happily
接続詞 名詞と名詞、句と句、節と節をつなぐ books and pens

I went to school and I studied math.

 

なお、動詞には目的語を必要としない「自動詞」と目的語を必要とする「他動詞」があります。
また自動詞としても他動詞としても使われる動詞もあります。

たとえば、”run”は以下の最初の文では自動詞として、次の文では他動詞として使われています。

  • I run every day. (私は毎日走ります。)
  • I run a business. (私は事業を営んでいます。)

関係代名詞・関係副詞

「関係代名詞」と「関係副詞」で始まる関係代名詞節と関係副詞節は、いずれも直前の名詞(「先行詞」)を修飾する節です。

  • 関係詞:I went to a shop which opened last week. (私は先週オープンしたお店に行った。)
  • 関係副詞:I went to a shop where there were a lot of people. (私は人がたくさんいるお店に行った。)

句読点

句読点には、カンマやピリオド、コロンやセミコロンなどがあります。それぞれの使い方と挿入される位置を確認しておきましょう。特にカンマの使い方はとても大事で、以下のような時に使われます。

<3つ以上の物をリストアップする>
A, B, C and D
“and”は最後の”D”の前だけに使い、それ以外はカンマを使います。

<関係代名詞等の非限定用法>
I went to a shop, which was very crowded.
(私はお店に行ったのですが、とても混んでいました。)

英語の論文を書くにはコツがある

英語論文を書く時の具体的なコツとして、英語論文の構成に従って書く、1段落1トピックとする、簡潔な英文を書く、などが挙げられます。

英語論文の基本の構成を知る

英語論文は基本的に以下のような構成になっています。

      Title(タイトル)
      Abstract(要旨、抄録)
      Introduction(序論)
      Methods(方法)
      Result(結果)
      Discussion(考察)
      Conclusion(結論)
      References(参考文献)
      Appendices(付録)

ただし、研究分野における英語論文の書き方の慣習や、英語論文の提出先または投稿先の指示によっても英語論文の構成は異なります。
まずは、研究分野の英語論文をいくつか見て標準的な構成を把握しましょう。

大まかな構成が分かったら、次に見出しを付けるなどして英語論文の骨子を作ります。
その後この骨子に従って書くことで、どこに何を書けばいいのか迷わずに済みます。
書いていくうちに構成を変えたくなったら、その都度修正していくと良いでしょう。

なお、英語論文の内容を書いていく順番は、構成案の順番通りでなくてもかまいません。
比較的書きやすい「メソッド」から書き始めたり、「アブストラクト」を最後に書いたりするなど、自分にとって書きやすい順番で書いていくのがコツです。

段落ごとにトピックセンテンスを入れる

各段落には1つの「トピックセンテンス」を入れます。トピックセンテンスとは、その段落のトピック(主題)を述べた1文です。

言い換えれば、各段落はトピックセンテンスで表される1つのトピックについてのみ書き、他のトピックを入れないようにします。
優れた英文は、トピックセンテンスだけ読んでいけば大体の要旨がつかめるようになっています。

1段落1トピックの原則を守るための1つの方法として、上述した構成案の各見出しの中に、箇条書きで書く内容を書いてみると良いでしょう。
その箇条書きの1つ1つがトピックセンテンスとなり1つの段落を構成するイメージで書いておくのがコツです。

英語論文は簡潔に書く

英語論文はあくまで研究の成果を正確に伝えることが重要なのであって、凝った英語表現は必要ありません。
冗長にならないよう、明確かつ簡潔に書きます。

簡潔に書くためのコツとして、1文が長すぎる場合は2文に分けたり、「節」を「句」に変えたり、抽象名詞を動詞に変えたりすることが挙げられます。

<2文に分ける>
We conducted three experiments and the results were …
→ We conducted three experiments. The results were …
(我々は3つの実験を行った。その結果は…)

<節を句に変える>
We conducted the research that deals with human brains.
→ We conducted the research of human brains.
(我々は人間の脳についての研究を行った。)

<抽象名詞を動詞に変える>
We made an examination of A. → We examined A.
(我々はAを検証した。)

段落単位では、同じような文を繰り返している場合、2文を1文にまとめられないかなど検討しましょう。

また、上記のトピックセンテンスにも関係しますが、トピックから外れた文は別の段落に書く、あるいは思い切って削除するなどしましょう。
論文全体では、論文のテーマから外れた記述がないか、重複する内容が異なる部分に書かれていないかなどに注意しましょう。

英語論文に使われるフレーズや表現方法を学ぶ

英語論文はいわゆる「アカデミック英語(学術英語)」で書きます。
アカデミック英語では日常会話レベルの語彙とは異なる語彙や表現方法が多く使われるので、これらを知ることでよりスムーズに英語論文を書けるようになります。

アカデミック英語を効率的に習得するコツは、研究分野で既に出版された英語論文をいくつか読んでみて、よく使われるフレーズや英語表現をリストアップしておき、英語論文を書く時に随時参照できるようにしておくことです。

以下では、アカデミック英語のフレーズや表現方法の代表的な例をいくつか挙げておきます。

英語論文で使われるフレーズ

英語論文でよく使われるフレーズの代表的なものとして、いわゆる「つなぎ言葉」があります。
つなぎ言葉は「副詞(句)」から成り、前の文と次の文をつなぐ役割をします。たとえば、

We conducted one experiment. In addition, we conducted another experiment one week later.
(私たちは1つの実験を行いました。さらに、もう1つの実験を1週間後に行いました。)

下線の副詞句(”in addition”)が「つなぎ言葉」で、他にも以下のようなものがあります。
なお、例文のように副詞や副詞句を文頭に置く場合、カンマが必要になることに注意しましょう。

<つなぎ言葉の例>

  • As a result, … (その結果)
  • Therefore/Thus, … (したがって)
  • However, … (しかしながら)
  • In summary/conclusion, … (要するに)
  • In addition/Further, … (さらに)
  • Similarly/Likewise/Also, … (同様に)
  • Adversely/On the other hand, … (他方で)

英語論文で使われる表現方法

英語論文でよく使われる表現方法の例としては、以下のようなものがあります。

<リストアップする表現>
There are four reasons why A became B: These are …
(AがBになった理由は4つあります。それは …)

<比較する表現>
A is B whereas C is D.
(AはBであり、一方CはDである。)

<用語を定義する表現>
The term X refers to …
(Xという用語は…のことを意味します。)

<傾向を表す表現>
The graph shows that there has been a gradual fall in X.
(このグラフは、Xが徐々に減少してきたことを表している。)

英語論文を何度も見直す

英語論文を書き上げた後は、繰り返し見直すことがとても大事です。

英語論文の執筆経験が豊富な研究者であっても、見直し作業は欠かせないくらいです。
英語論文を見直す際のチェック事項の例として、以下の項目が挙げられます。
① 提出先の指示に従って書かれているか
② スペルミスがないか
③ 文法上の間違いはないか
④ 冗長な表現はないか
⑤ 論文全体で整合性が取れているか
⑥ 論文全体で整合性が取れているか

人によって間違えやすいポイントなどは異なります。
自分なりの「見直し用チェックリスト」を作って、論文を書くたびに毎回チェックすると良いでしょう。

なお、この見直し作業は一度で終わるとは限らず、「見直し」 → 「修正」のサイクルを何度も繰り返して行うことで、より質の高い英語論文に仕上がります。
その際、今まで見過ごしていた誤りに気付くためのコツとして、「自分が書いた英語論文を声に出して読む」、「プリントアウトして読む」のがおすすめです。

英語論文を書くのにあまり慣れていない場合、最初から完璧な英文を書こうとすると、書き進めるハードルがとても高くなってしまいます。
まずは書いてみて、その後ていねいに推敲するのがコツです。
何度も英語論文を書いていく内に、最初からある程度質の高いものを書けるようになり、見直す回数も減っていくでしょう。

①提出先の指示に従って書かれているか

提出先によってフォーマットや書式などが異なるので、必ずチェックしましょう。

②スペルミスがないか

スペルミスを防ぐのに「スペルチェッカー」は今や欠かせないツールかと思います。ただ、スペルチェッカーは筆者が意図した単語と違う単語に修正することがあるため、自動修正ではなく手動で修正するよう設定し、提案された修正案を確認してから修正するようにしましょう。

③文法上の間違いはないか

最低限以下の項目はチェックしましょう。

  • 主語と述語が対応しているか
  • 正しい時制が使われているか
  • 名詞の単数形・複数形は正しいか → 動詞がそれに対応しているか
  • 句読点(カンマやピリオド)の位置や使い方は正しいか

④冗長な表現はないか

上述したような簡潔な表現に変えられないか検討しましょう。

不明瞭な部分はないか

代名詞が何を指しているか分かりづらくないか、注意しましょう。

論文全体で整合性が取れているか

英語論文が論理的一貫性(”consistency”)を有するかどうか確認しましょう。

英語論文校正会社に依頼する

国際的な学術雑誌に英語論文を投稿する際には、英語ネイティブの英語論文と競い合うことになります。

英語ノンネイティブの日本人の場合は特に、提出前に一度プロの英文校正者に校正してもらうのがおすすめです。
自分で何度も見直した場合でも、自分では気づかないミスや改善点がある場合があります。

英文校正会社を選ぶ際は、英文校正のプロというだけでなく、自分の研究分野に精通した校正者がいる英文校正会社を選ぶようにします。
出版経験や査読経験の豊富なプロの英文校正者から英語のミスを指摘してもらえるだけでなく、投稿予定先雑誌にアクセプトされやすいようアドバイスがもらえる場合もあります。

また、修正コメントをもらうことで、自分が弱点としている文法項目が分かり、新しい表現を学ぶこともできます。

なお、英文校正を外注する時のコツは、基本的なミスは自分で可能な限り修正してから依頼することです。
プロの校正者ならではのポイントに集中してもらえますし、意図したのとは違う意味に校正されてしまうことをある程度防ぐことができます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
英語論文の書き方のコツについてご紹介しました。

あくまで一般的なルールを中心として記述していますので、まずは研究分野の既に出版された論文を読み、英語論文の書き方の慣習を知ることがコツです。

その上で、まずは構成案から書いてみましょう。なお、英語論文の書き方については、こちらのコラム(英語論文の書き方)もご参照ください。
『英語論文の書き方を分かりやすく解説!』https://calibration-english.com/column/how-to-write-english-paper/

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