誰でも書けるようになる!英語論文の上達法を解説
英語論文を上達させるには何かコツがあるのでしょうか。
受験勉強の英作文などは書き方を学ぶ機会がありますが、英語論文の書き方をじっくり学ぶ機会はなかなかありません。
本記事では、英語論文が他の英文ライティングと異なる点をご説明した後、英語論文を上達させる具体的な3つの方法と、プロに英語論文を添削してもらうことが英語論文をさらに上達させることにつながる理由を詳しくご紹介します。
コラムの目次
英語論文は他の英文とどう違う?
英語論文で書く英文は、日常生活で書くeメールなどの英文、大学入試の英語試験や英語の資格試験で出題される英作文とはいくつかの点で異なります。
英語論文は「フォーマルな英語」で、「客観的」かつ「シンプルな表現」で書くという特徴があります。
英語論文はフォーマル英語で書く
友人同士のeメールなどではカジュアルな英語で書きますが、英語論文はフォーマルな英語で書きます。
このため、短縮形(”couldn’t”など)は使わず、フォーマルな語句を選びます。
「動詞」について見てみると、会話文でよく使われる「句動詞」よりも「動詞」単独の表現が好まれる傾向にあります。
たとえば、「調べる」を意味する句動詞は”look into”や”take a look at”ですが、英語論文では”examine”という動詞の方がよく使われます。
英語論文は客観的に書く
eメールや英作文では個人の感想や主観的な意見を書いたり感情を表す表現を使ったりしますが、英語論文は客観的に書きます。
このため「事実」とそれに基づく「推測」を明確に分けて書くことが重要です。
すべての「推測」は実験結果や調査結果などの「事実」=「エビデンス」(“evidence”)に基づいていなければなりません。
英語論文はシンプルな表現で書く
英語論文はシンプルな表現で書きます。
英語論文の一番大事な役割は、研究成果を読み手に正確に伝えることです。
大学入試の英作文などと違って英語力を試される場ではないので、類義語を多用することで語彙力をアピールする必要はありませんし、文学的に洗練された文章にする必要もありません。
英語論文は「シンプル・イズ・ベスト」です。
英語論文を上達させる方法
英語論文を上達させるには、基本的な英語論文の構成や英文スタイルを学び、明瞭簡潔な書き方や頻出フレーズを学ぶことが大事です。
英語論文の構成や英文スタイルを知る
英語論文の構成や英文スタイルには一定の傾向があるため、それらを学ぶことが大事です。
【英語論文の構成】
一般的な英語論文の構成は以下のようになっています。
「タイトル」→「要旨」→「序論」→「方法」→「結果」→「考察」→「結論」→「参考文献」→「付録」
ただし、研究分野や投稿先のジャーナルによって構成は異なるため、研究分野の英語論文ではどのような構成がスタンダードなのか調べておきましょう。
【英文スタイル】
英語論文の英文スタイルに関する特徴の1つとして、「序論」の研究分野の背景や先行研究の紹介を記述する部分の動詞は「現在形」または「現在完了形」で書き、その他の部分の動詞は「過去形」で書くことが多いことです。
この他気を付けるべき英文スタイルには、単語の綴り方、句読点の使い方、略語の使い方、数値の書き方、引用方法など様々なものがあります。
英語論文の英文スタイルについて詳しく書いてある本に、シカゴ大学出版局出版の”The Chicago Manual of Style“があり、世界中で広く参照されています。
この本には、英語論文の原稿の書き方、英文スタイル、参考文献の示し方、文章校正など、英語論文を書く方が知っておいた方がよい基本的ルールが網羅されています。
また、“Element of Style”という古典的な本もあります。
こちらは英語論文に特化しているわけではありませんが、英文法や英文の効果的な書き方を簡潔に説明しており、今も広く参照されています。
無料のオンライン版もあるので、一読しておくとよいでしょう。
なお、これらの本に書かれているのは、どの研究分野でも通じる一般的な英文スタイルです。
英語論文の英文スタイルも研究分野によって異なることがあるので、研究分野で既に出版された英語論文を複数見て、英文スタイルの慣習を確認しておきましょう。
なお、これらの本に書かれているのは、どの研究分野でも通じる一般的な英文スタイルです。
英語論文の英文スタイルも研究分野によって異なることがあるので、研究分野で既に出版された英語論文を複数見て、英文スタイルの慣習を確認しておきましょう。
英語論文は明瞭簡潔に書く
研究成果を正しく伝えるため、より簡潔で分かりやすい表現を選んで書きます。
書き上げた英語論文を見直す際には、冗長な表現がないか、重複している部分はないかなどに気を付けて修正しましょう。
以下では、語句、文、パラグラフ、論文全体の各段階で気を付けるべきポイントをご説明します。
【語句】
なるべく簡潔な語句で書きます。
つまり、長い表現と短い表現があったら短い方を選びます。
一般的に、名詞よりも動詞を使って表現した方が簡潔な表現になることが多いです。
たとえば、「実験する」を名詞で表す場合と動詞で表す場合、以下のように名詞を使って書いた文は6語だったのに対し、動詞を使って書いた文は4語と短くなりました。
名詞: We conducted the experiment several times.(6語)
動詞: We experimented several times.(4語)
(我々は実験を数回行いました。)
【文】
文単位では、一文が長過ぎないか、類似の意味を表す文が連続していないか、二文を一文にまとめられないか、文と文は論理的につながっているかなどに気を付けましょう。
受動態よりも能動態を、否定文よりも肯定文を使った方が簡潔な文になりやすいです。
たとえば、「それは明らかでない。」という表現を否定文と肯定文で表す場合、以下のように否定文で書いた文は4語だったのに対し、肯定文を使って書いた文は3語と短くなりました。
否定文: It is not clear. (4語)
肯定文: It is unclear. (3語)
また、複数の節が接続詞や関係詞でつながっている文(「重文」や「複文」)が連続すると、冗長な印象を与えます。
1つの節の文(「単文」)を挟むなどして、読みやすくなるよう工夫しましょう。
【論文全体とパラグラフ】
1つの段落は1つのトピックセンテンス(主題文)を中心にまとめます。
同じ段落に2つ以上のトピックが入っていないか、トピックに直接関係のない文が入っていないか、段落と段落が論理的につながっているかなどに注意しましょう。
また、論文全体で論理的一貫性があるか、別の場所に同じようなことを書いている部分はないかにも気を付けます。
頻出フレーズを学ぶことは英語論文上達の近道
伝えたいことを英語でなんと表現したらいいのか迷われたことはないでしょうか。
英語論文の執筆に熟練している研究者は英語論文で使われる定型表現をたくさん知っており、頭の中で考えていることをスムーズに英文で表すことができます。
これらの頻出フレーズを学ぶことは、英語論文上達の近道です。
どの学術分野の英語論文でもよく使われる一般的な表現の例を、以下に挙げました。
【Introduction(序論)でよく使われる表現】
- According to recent studies, … / Recent surveys suggest that …(最近の研究によると、・・・)
- We define X as Y(我々はXをYと定義します)
- In this study, X stands for Y(本研究では、XはYを表します)
- Over the past decade, X decreased dramatically(過去10年間で、Xは大幅に減少してきた)
- A main issue is …(主な問題点は・・・です)
- No previous study has fully examined …(過去の研究では・・・を十分に検証していない)
- To address these gaps(これらの空白を補うため)
- The object of this research was to …(本研究の目的は・・・することです)
【Methods(方法)でよく使われる表現】
- This study employs quantitative analysis(本研究は定量分析を採用している)
- The benefit of this method is that …(本手法のメリットは・・・である)
- We repeated the process several times(我々はこのプロセスを何度か繰り返した)
- First, …. / Second, …. / Third, …(最初に、・・・。/ 第二に・・・。/ 第三に・・・。)
【Result(結果)でよく使われる表現】
- Table 1 provides an overview of …(表1は・・・の概要を示している)
- These figures show that …(これらの数値は・・・を示している)
- Combining X with Y produced …(XとYを混ぜ合わせると・・・が生じた)
- In summary, these results show that …(要約すると、これらの結果は・・・を示している)
【Discussion(考察)でよく使われる表現】
- We found that …(我々は・・・を発見した)
- These findings prove that …(これらの発見は・・・を証明する)
- The reason for X is that …(Xの原因は・・・である)
- Further study should be undertaken to …(・・・するにはさらなる研究が必要である)
【Conclusion(結論)でよく使われる表現】
- We concluded that …(我々は・・・と結論付けた)
- The results of this study indicate that …(本研究の結果は・・・を示唆している)
- This study contributes to existing knowledge of …(本研究は・・・に関する既存の知識に寄与する)
なお、英語論文で使われるフレーズについては「英語論文の書き方を分かりやすく解説!」もご参照ください。
海外大学のウェブサイトの中にも、英語論文で使われるフレーズのリストを公開しているところがあります。
中でも、英国マンチェスター大学の「アカデミック・フレーズバンク(Academic Phrasebank)」は網羅性があり、よく参照されています。
この他、研究分野で既に出版された英語論文でよく使われている英語表現をエクセルなどにリストアップしておくと、自分で英語論文を書く時に役立ちます。
プロに添削してもらうことは英語論文を上達させる最良の方法
ここまでは独学で英語論文を上達させる方法を書いてきました。
ただ、英文ライティングの上達全般に言えることですが、実際に書いて添削してもらうプロセスはライティングの上達に不可欠です。
英語論文は英語論文校正のプロに添削してもらい、自分で修正内容を確認するという作業を通じてよりいっそう上達します。
校正箇所を学ぶことが英語論文の上達につながる
プロの校正者による修正が入った英語論文は、まさに学びの宝庫です。
修正箇所をじっくり確認することによって、語法の誤りなど自分が間違えやすいポイントが分かります。
また、より適切な言い回しを提案してもらえるため、多様な表現を学ぶことができ語彙力アップにもつながります。
次回以降に英語論文を書く時のために、修正された箇所を記録しておくのをお勧めします。
新たに学んだ表現や、修正前後の英文と修正ポイントなどを書いて次回それを参照しながら書くことで、英語論文が上達していきます。
英語論文の上達に役立つ英文校正会社はこう探す
英語論文は正しい英語に添削してもらってこそ上達します。英語論文の上達に役立つ英文校正会社は、次の点に注目して探しましょう。
① 研究分野に詳しい校正者がいるか
研究分野によって、英文のスタイルやよく使われるフレーズが異なります。
英語論文を正しく添削してもらうには、校正の経験が豊富でかつ研究分野に詳しい校正者がいる英文校正会社を選びましょう。
② 複数回の校正に対応してくれるか
英文校正は1度で終わることは少なく、再校正が必要になることが多いです。
修正部分を正しく修正できていなかったり、一部を修正した結果他の部分との整合性が合わなくなったりすることがあるためです。
再校正がサービスに含まれているまたは割引料金で受けられるか、再校正を受けられる期間はいつまでかなどを確認しておきましょう。
③ 修正理由が分かりやすいか
英文を正しく修正してくれるだけでなく、なぜその修正になるのか、どこが間違っていたのかなどについてコメントを付してくれたり、修正箇所に関する質問を受け付けてくれたりする英文校正会社であれば、より英語論文上達に役立ちます。
まとめ
英語論文は他の英文ライティングとは異なる特徴があり、明瞭簡潔であることや客観的に記述することがとても大事です。
また、研究分野で既に出版された英語論文を参考にして、英語論文の構成や英文スタイル、頻出フレーズを学ぶことが英語論文上達に役立ちます。
さらに、英語論文校正のプロに添削してもらって修正することも英語論文の上達には欠かせません。
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