英語論文の書き方のルールとは

公開日:2018.02.02
最終更新日:2023.09.06

論文において細部にまで厳格なルールが定められているのは、論文というものがその性格上、「客観性と普遍性」を最も重視しているためです。つまり、時間軸を超えて誰がいつ読んでも同じ考察結果が得られることが論文としての絶対条件であり、最低条件でもあります。研究職をめざすのでなくても大学では論文を書く機会が増えるため、できるかぎり早い段階で英語論文の正式なルールを身につけ、基本スタイルを自分のものにしておきましょう。論文の書き方を習得することは、論理的思考力を養うことにもつながります。

 

投稿規定は必ず守らなければならない

大学内で教授に提出する論文などは別として、正式な学術論文ではすべての分野において投稿規定が定められています。わかりやすく言えば、小説新人賞の応募要項と同じようなものですが、論文の場合、投稿規定を著しく逸脱した論文を投稿すると論文の信頼性ばかりか、研究者としてのスキルそのものが疑われる可能性もあるため注意が必要です。投稿規定においてはフォントサイズや字体、印刷に使用する用紙の書式や1行あたりの文字数まで、かなり細かいことがルールとしてきっちりと定められています。

また、句読点やコロン、セミコロンなどの使い方も厳密に定められており、規定からはずれた文脈でそれらの記号を用いると内容が正確に理解されず、減点対象となってしまいます。論文における減点対象とはすなわち「信頼性に欠ける」ということであり、これは研究者としても大きな致命傷になり得ます。

英語論文において重要視されるルールに、「キャピタライゼーションルール」があります。これは、表題の文字を原則としてすべて大文字表記にするというもので、日本語に慣れている私たちは見落としがちですが、英文がスタンダードになっている論文の世界では当然の原則として認識されているため、研究者としてはしっかり頭に入れておく必要があります。論文において形式は、何よりも優先されるべき部分です。形式がきちんと守られているからこそ論理性が保たれるのであり、誰が読んでもわかりやすい論文に仕上がるのです。

大学生のうちから英語論文の標準的な様式を理解しておくことは非常に重要で、大まかな構造を理解したうえで細かいボキャブラリーや接続詞の使い方を覚えていくとスムーズに全体像を把握できます。

 

用紙のサイズやタイプの仕方にも細かいルールがある!?

学術論文という形式にまだ慣れていない大学生のうちは、英語論文の基本的な書式をひとつひとつ覚えるだけでもギブアップしてしまうといいます。それほど英語論文が「形式」というものを重視していることの表れでもあるのですが、将来的に研究職として論文を発表したいと考えているのであれば、学生のうちから基礎的な論文執筆のトレーニングをつづけ、論文の発想法が意識しなくても自然に実践できるレベルにまで引き上げておきましょう。

学術論文においては用紙のサイズも厳密に規定されています。現在、A4判の用紙が国際標準として規格化されており、学術論文においても原則としてA4の用紙を用いることが求められています。用紙いっぱいに文章を書きつらねては非常に読みにくいため、研究方法や考察、結論などを記す際には1行ごとに改行して見やすくすることが基本ルールとなります。書籍化された論文集では文字がぎっしり詰め込まれているようですが、それはページ数やボリュームの都合からそのような書式になっているのであって、投稿する際には本来の様式に則った形で読みやすく書いていくのが原則となります。

学術論文においてフォントは12ポイントであることが望ましいとされており、字体は国際標準の「Times New Roman」が適していると言われています。論文を書くうえで注意したいのが略語の扱いです。普遍性がもとめられる学術論文では使われるワードのひとつひとつにきちんと定義づけを行う必要があり、略語の場合、初出の時点では正式名称につづいてカッコ書きで略語を記す、というかたちで意味を規定する必要があります。
ただし、学術論文は基本的に誰が読んでも等しく理解できるようにする必要があり、その意味でも略語の使用は極力さけるべきだとされています。

 

文献の記載も決まりに沿って正確に

英語論文にかぎらず、たとえば大学入試や小説の一般公募などでも、応募要項をきっちり守って書類を提出することは最低限のルールであり、マナーでもあります。論文における特徴的な要素として参照文献の記載があり、本文中で一度でも引用した資料についてはその出典を考察部分のあとに明記する必要があります。

文献の記載にも細かなルールが設けられており、著者および書籍タイトルを記すのは当然として、出版年や引用個所などをできるかぎり詳細に記録しておくことも必要です。また、論文からの引用や参照であれば「誰がいつ書いた何という論文なのか」をひと目見てわかるように記録する必要があり、仮にひとつでも記載漏れが見られた場合には論文としての効力を失ってしまいます。参考文献は学術論文の信頼性を裏づけるためのものであり、同時に、有益な情報を提供してくれた研究者に対して敬意を示すという意味合いも含まれています。
後々の検証作業を容易にするため、論文からの引用の場合は参照箇所をピンポイントで特定できるような形で記載し、書式も読みやすいように配慮しましょう。

また、最近ではインターネットからの引用も当たり前になっています。その場合はサイトのURLとサイト名をきちんと明記し、なおかつ直接参照した記事のタイトルまでわかりやすく記載する必要があります。参照文献をきっちり把握できるよう、執筆の前段階で引用文献リストをつくっておき、紛失しないように管理しておくことも研究者としての職務のひとつです。

 

まとめ

大学ではまず、1年生のうちから論文の正式な書き方をしっかり理解させると言います。早い段階で論文の性質を理解し、英文特有の発想法を体得することで研究職に就いてからも信憑性のある論文が書けるようになります。

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