英語論文を投稿するまえにチェックすべき3つのこと

公開日:2018.02.05
最終更新日:2023.09.06

論文に限らず、小説やエッセイなども、公式なコンクールなどに応募する際には原稿にミスがないかどうか細かくチェックし、矛盾点をその都度修正する必要があります。英語論文は基本的に「事実から事実を導き、事実を記録する」という趣旨のものであるため、たとえわずかなミスでも命取りとなり、場合によっては研究者としてのスキルが疑われる結果となることもあります。投稿前の論文をチェックするポイントについて理解するとともに、ミスのフィードバック方法を身につけ、整合性のとれた論文を効率よく書けるようにしましょう。

 

投稿先の設定したルールがきちんと守られているか

学術論文は原則として、各種論文雑誌に投稿されることになります。どの論文雑誌もそれぞれ独自の投稿規定を設けており、それを少しでも逸脱した論文に関しては投稿資格が認められません。多くの論文雑誌に共通するのはフォントサイズに関する規定であり、現在、「12ポイントのTimes New Roman」が国際標準規格として定められています。

パソコンでの論文執筆の場合はあらかじめ規定の様式に設定するだけですので非常に簡単ですが、このルールを知らずに独自のフォントサイズと書式で論文を執筆してしまうと投稿資格が失われ、最悪の場合は同じ論文雑誌への投稿ができなくなってしまう恐れがあります。論文執筆者が事前に把握しておくべきポイントは書式だけではありません。正式な英語論文では構成の順序も厳密に定められており、それより不足があっても余剰があっても論文としては減点対象となってしまいます。

構成順序というと大げさに聞こえるかもしれませんが、要するに「これは何のための論文でどのような事実がわかったのか」をわかりやすく整理することが重要である、というものです。学術論文における細かいルールはすべて論文に論理性と普遍性をもたせるためのシステムであり、それらに則っていない論文はその時点で論理性に欠けると判断されてしまうのです。コロンやセミコロンなどの用法もかなり厳密に定められているため、これから本格的に研究職をめざすという方は論文の執筆スキルを磨く前に一度、基本的な英文法のルールについてきっちりおさらいしておくことをおすすめします。

 

データに整合性がないと信憑性がなくなる

学術論文の骨格をなすのはデータと事実、そして論理です。このうちのどれかひとつが欠けても論文としては見なされず、それはただの作文かエッセイになってしまいます。英語論文において使用される個々のデータはある一貫した論理のもとで収集されたものでなければならず、必然性のないデータは余剰にしかなりません。必然性と同様、整合性もまた論文データにとって屋台骨ともいえる重要な要素であり、「整合性のない論文は論文ではない」と言い切っても過言ではありません、論文に整合性がある、ということはすなわちデータに一点の矛盾もない、ということであり、細部にいたるまで整合性が確認されてはじめてその論文は記録として残す価値があると認められるのです。

論文の整合性は執筆者自身がチェックすることもできますが、客観性をもたせたい場合は外部の校閲者やウェブサイトを活用して問題がないかどうかを確かめる方法もあります。むしろ、膨大なデータと記述によって構成された長い論文を執筆者自身がすべてみずからの手で校閲するのはほぼ不可能といってもよく、最終的にはプロの校閲者によって文法的な誤りやデータの整合性、論理構成の正しさなどが確かめられるのが一般的です。

ただし、すべてのチェック作業を外部に委託するのではなく、執筆者自身も校閲のプロになり、大まかな文法ミスなどを自分自身で修正し、原稿をブラッシュアップできる程度のスキルは身につけておく必要があります。なお、学術論文の世界ではデータの分析から実際の執筆、最終原稿の再校閲まですべてのプロセスに直接かかわった研究者のみが論文の著者として認められ、それ以外は著者として名乗ることが許されません。

 

カバーレターの印象が論文の評価を左右する

英語論文の執筆にあたり知っておきたいのがカバーレターのマナーです。カバーレターは言ってみれば論文の補足資料のようなもので、論文本文に書ききれなかった項目や審査機関への挨拶、論文を深く理解する上で必要となる前提事項を書き添えるために用いられます。論文のオンライン投稿が主流になりつつある現在でもカバーレターは国際的に重視されており、正式な論文審査では原則としてすべての項目ごとにカバーレターを添えることが義務づけられています。カバーレターの書式や記載事項も厳密に定義されており、論文のフォーマット、重複箇所の指摘、著作権譲渡の同意など、論文の校閲を効率化するための項目について詳細に記載することがもとめられます。小説公募にあたって同封する作品の梗概のようなもの、と説明すればわかりやすいでしょうか。

論文の投稿雑誌には日々、何千本という単位の学術論文が世界各国から寄せられます。当然、そのひとつひとつにきっちり目を通していては業務がパンクしてしまうため、審査する側は添付されるカバーレターをガイドラインがわりにしつつ、論文を効率よく審査しています。レターとついているので個人的な手紙のように思われるかもしれませんが、カバーレターもまた論文の一部であり、カバーレターをきちんとした書式で書けることが研究者としてのひとつの合格ラインとも言われています、言い換えれば、カバーレターのついていない論文は読む側にとって不親切な論文であり、その一点だけで論文審査からはずされる可能性があることを理解しておきましょう。

 

まとめ

論文にかぎらず、書き上げた文章を推敲する大切さは小学生でも習うことです。学術論文においては全体の論理とデータの整合性が大きなチェックポイントとなり、それ以外にもカバーレターが正式な書式に則って書かれているか、ということも重要なポイントとなります。

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