英語論文の序論の書き方とポイントを詳しく解説!

公開日:2022.06.17

英語論文の序論は、既存文献を紹介したり論文の研究課題を紹介したりするだけではなく、読者を論文に引きつけるという重要な役割を持っています。
序論の書き方には一定のパターンとポイントがあり、それらを知ることで徐々に良い序論を書けるようになります。

以下で序論の位置づけ、序論に含めるべき内容、実際の書き方、書く際のポイントなどをご説明していきます。

英語論文の構成

研究分野によって多少異なることはありますが、英語論文は多くの場合以下のような構成になっています。

Title(タイトル)

Abstract(要旨、抄録)

Introduction(序論)

Methods(方法)

Result(結果)

Discussion(考察)

Conclusion(結論)

References(参考文献)

Appendices(付録)

英語論文の最初の方に位置する序論の主な目的は、読者の興味を引きつけて論文を読んでもらうことです。
その論文が読む価値に値すると思ってもらえるよう、なぜその研究課題が重要なのかを序論に記載します。

それでは、英語論文の序論に何を書くべきか、具体的に見ていきましょう。

英語論文の序論には何を書くのか

英語論文の序論では、まず「研究分野の概要」を説明し、次に「文献レビュー」を行います。
その中でまだ十分に研究されておらず学術的意義を有する研究課題を示し、その課題についての研究がなぜ重要なのかを説明します。

そして、その研究課題に取り組むための「論文の目的」と「研究方法」を記載します。

また研究分野や投稿雑誌によっては、「調査結果と結論」も序論に記載する場合があります。

なお、研究分野や投稿雑誌等によって序論に書く内容が異なったり、順番が前後したりすることがあるので注意が必要です。
以下で、一般的な英語論文の序論の記載内容を見てみましょう。

研究分野の概要 (OVERVIEW)

序論ではまず、「研究分野の概要」を簡潔に記載します。
想定される読者によってどこまで詳しく書くかは異なりますが、研究分野を説明するテキストではないので、一般的には論文への興味を喚起し論文を理解するのに必要十分な量にとどめます。

また、研究分野における問題は何かを示し、なぜその研究分野が重要なのかを論じます。

文献レビュー(LITERATURE REVIEW)

論文に関連する文献のレビューを行い、まだ十分研究されていない「研究課題」、つまり既存文献の「知識の空白 (knowledge gap)」を明らかにします。
さらに、その研究課題が「学術的意義」を有することを示すことで、論文の研究課題の革新性と重要性を読者に伝えます。

論文の目的 (OBJECTIVE)

上記で明らかになった「研究課題」を踏まえ、この論文で解決を目指すこと(「論文の目的」)を記載します。
また、研究分野によっては「仮説(Hypothesis)」を記載することもあります。

研究方法 (METHOD)

「論文の目的」を達成するために採用した「研究方法」を示します。
また必要に応じて、その研究方法を採用した理由も記述しましょう。

調査結果と結論 (RESULTS AND CONCLUSIONS)

主な「調査結果」と「結論」を簡潔に記します。v
先に重要な結果を提示することで論文の成果が明確になり、論文の続きを読みたいという読者の興味を喚起する効果もあります。

英語論文の序論の書き方

以下では、英語論文の序論の書き方について具体的にご説明します。

英語論文の序論は2段階に分けて書く

序論は英語論文の最初の方に位置していますが、論文全体の内容を踏まえて書くものであるため、論文本文を書き上げる前に序論を完成させる必要はありません。

最初に序論をいったん書いておいて、本文を書き終わってから序論に加筆修正・本文との整合性チェックの2段階に分けて書くとより良い仕上がりになるでしょう。

英語論文の序論は「フォーマル英語」で書き「現在時制」を基本とする

英語論文ではフォーマル英語を使い短縮形を使いません
なお、フォーマル英語では受動態が好まれることがありますが、近年ではより簡潔で分かりやすい英文にするため、特に科学論文の場合能動態で書くケースが多いようです。

時制については、序論で書かれる英文の多くが現在形(または現在完了形)です。
ただし、研究分野や英語論文の投稿雑誌によって、スタンダードな書き方が異なるので確認してから書き始めましょう。

英語論文の序論で専門用語の説明をする

読者は同業者だけとは限らないので、混乱を避けるため、またスムーズに本文まで読み進めてもらえるように、専門用語や略語は英語論文の序論で説明します。
専門用語の説明は序論で最初に出てきた時に書きましょう。

また、略語に関しても、1回目は略さずに書き2回目以降は略語で書きます。

略語をフルで書く場合は、そのすぐ後ろにかっこ書きで、
“Hereinafter referred to as …”
(以下…と言う)
という表現を使います。

たとえば、「WHO」を論文の中で初めて書く場合は、
World Health Organization (hereinafter referred to as “WHO”)
(世界保健機構、以下「WHO」と言う)
のように書き、2回目以降は略語の”WHO”のみを使います。

英語論文の序論でよく使われる語彙や表現を使う

英語論文の序論でよく使われる語彙や表現をご紹介します。
これらの表現をいくつかストックしておけば、序論をスムーズに書き進めることが可能です。

研究分野の概要 (OVERVIEW)

It has been widely recognized that …
(…は広く認識されてきた)

Recent studies have revealed that …
(最近の研究により…ということが明らかになっている。)

According to recent surveys …
(最近の研究によると…)

One of the problems is that …
(問題の1つは…である)

文献レビュー (LITERATURE REVIEW)

One study indicated that …
(ある研究は…を示唆している)

No previous research has revealed that …
(先行研究はいずれも…を明らかにしていない)

To help address these gaps, we conducted …
(これらの空白を埋めるため、我々は…を行った)

It is of great interest to examine …
(…を分析することは大変重要である)

The main contributions of this study are …
(当研究の主な貢献は…である)

論文の目的 (OBJECTIVE)

The purpose of this study is …
(当研究の目的は…である)

One way to solve these problems is …
(これらの問題を解決する1つの方法は…である)

研究方法 (METHOD)

We tested …
(我々は…のテストを行った)

We experimented …
(我々は…の実験を行った)

調査結果と結論 (RESULTS AND CONCLUSIONS)

Outcomes show …
(調査結果によると…)

In conclusion, …
(結論として…)

英語論文の序論を書く際のポイント

最後に、英語論文の序論を書く際のポイントをいくつか挙げます。

英語論文の序論で読者をひきつける

英語論文の序論の主な目的の1つは、読者をひきつけ論文本文を読んでもらうことです。
読者はまず英語論文の序論を読んで本文を読むか決めます。

研究分野の概要や文献レビューだけでは論文の重要性が伝わりません
「知識の空白」があること、そしてその研究課題がいかに重要であるかを強調するのを忘れないようにしましょう。

ただし、誇張表現は避け客観的に書くことが大切です。

英語論文の序論は大きな話から始める

英語論文の序論の構成は、漏斗の形にたとえられます。
「研究分野の一般的概要」という大きな話題から「論文の研究課題」という特定の話へと徐々に範囲を狭めながら記載していくと良いとされています。

研究分野の背景知識など全体像を示し、先行研究に触れながら論文の研究課題へと読者をスムーズに導いていくようにしましょう。

英語論文の序論で記載する背景知識は必要十分な量にする

英語論文の序論の主な目的は、論文の研究課題や重要性を説明することなので、研究分野の背景知識や先行研究の紹介は冗長になり過ぎないようにしましょう。

ただし、研究分野や投稿先ジャーナルによっては、既存文献を詳述した方がいい場合もあります。

英文のスタイルは簡潔にする

序論に限らず英語論文全体に言えることですが、一文はせいぜい30 words程度にとどめましょう。
一文が長すぎると意味が分かりにくかったり、主語と述語が正しく対応していない状態である「主語と述語のねじれ」が起こりやすくなったりします。

また、受動態を多用し過ぎても冗長な文章になりがちです。主語を”We”にするなどして、簡潔な文を目指しましょう。

既存の英語論文の序論を参考にする

良い序論を書くために大事なことは、優れた英語論文の序論に多く触れることです。
同じ研究分野や投稿先雑誌の英語論文を数多く読み、どのような慣習に従って序論が書かれているか、学ぶことが大切です。

優れた英語論文は研究のためだけでなく、英語論文を書く際のお手本としても役立ちます

まとめ

いかがでしたでしょうか。研究分野によって多少異なるものの、英語論文の序論の書き方には一定のパターンがあります。
このパターンを踏まえた上で、序論を書いていきましょう。

序論の内容如何で、多くの人に読んでもらえるかが決まると言っても過言ではありません。

ただ、日本人研究者にとって英語ネイティブの論文と競い合うのは非常に厳しい戦いです。
英語論文を書き上げたら、ぜひプロに校正してもらいましょう。

論文を修正するだけでなく、なぜその修正が必要なのかの説明や論文の書き方のアドバイスもくれる英文校正会社もあります。
上手にサービスを活用することで英語論文の序論の質を高め、競争力のある論文に仕上げましょう。

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