英語論文を執筆する際には準備が大切!|お役立ちツールもご紹介

公開日:2023.08.31

英語論文を執筆する際は、いきなり書き始めるのではなく、事前に十分な準備をしておくことが大切です。

書き出しのタイミングで困らないように、あらかじめデータや関連文献を収集分析し、研究結果を整理しておきましょう。

この記事では、英語論文執筆に必要な準備、英語論文を執筆する際のポイント、英語論文執筆に役立つツール、英語論文をジャーナルに投稿する前にチェックすべきことを解説します。

英語論文を執筆するための準備

英語論文を執筆するに当たって準備しておくべきことを、以下で解説します。

研究結果のデータを整理する

英語論文は母国語でない英語で専門的な内容の文章を書かなければなりません。

英語で文章を書きながら、同時並行で必要なデータを探し、まとめていくことは至難の業です。

研究結果を、すぐに論文執筆に活用できるような形に整理しておくと良いでしょう。

参考文献を収集する

英語論文執筆に当たって、既存の研究内容を知るために大量の文献を読み込むことは欠かせません。

ただ、関連しそうな文献をすべて読み込むことは、現実的に不可能です。

自分の研究に関係が深く、他の研究者の論文によく引用されている文献から、優先的に読んでいくと良いでしょう。

参考にした文献については、タイトルや著者名、本の内容の要約や、引用したい部分のメモなどを、論文執筆に利用しやすい形で一か所にまとめておきましょう。

文献管理については、後述するように、文献管理ツールを活用する研究者が多いです。

自分の研究内容に合ったジャーナルを選ぶ

英語論文がジャーナルに掲載されるためには、自身の研究との相性が重要です。

いくら論文の内容が優れていても、ジャーナルの内容と自身の研究テーマが合っていなければ、掲載につながりません。

それぞれのジャーナルで過去に掲載された英語論文をいくつか読んでみて、研究内容が一致しているか確認しましょう。

また、英語論文を執筆してジャーナルに投稿した経験が少ない場合、最初から世界的に著名な一流ジャーナルへの投稿を目指すのではなく、比較的掲載されやすいジャーナルを選ぶのもコツです。

納期を確認して大まかなスケジュールを立てる

英語論文は、母国語の日本語で書く論文よりも、執筆に時間がかかります。

また、執筆に要する時間だけでなく、執筆した後に自分で推敲したり、第三者の目で英文校正してもらったりする時間も必要になるため、時間に余裕を持っておきましょう。

英語論文に限りませんが、締め切りを設定した方が執筆がはかどるという方もいるのではないでしょうか。

執筆後、推敲や英文校正にかかる時間も忘れずに執筆計画を立ててください。

ジャーナルの投稿規定を確認する

各ジャーナルは、独自の投稿規定を設定しています。

フォーマットが特殊であるものも少なくないため、英語論文の執筆を始める前に目を通しておきましょう。

ジャーナルの投稿規定で定められている事項には、たとえば文字のフォント、アメリカ英語かイギリス英語か、図表や凡例の書き方、参考文献の表示方法、論文の各構成項目に何を含めるか、など様々なものがあります。

後から投稿規定に合わせて英語論文を修正するのは時間と手間がかかってしまうため、あらかじめ投稿規定に合わせたフォーマットで執筆を開始するのがおすすめです。

英語論文の構成を決める

英語論文の構成は、ジャーナルの投稿規定で決められているケースもありますが、一般的に「IMRAD(イムラッド)」形式が採用されているため、これにしたがって執筆します。

IMRAD形式とは、Introduction(序論), Methods(方法), Results(結果), and Discussion(考察)の頭文字を取ったもの。

研究分野によって、Methods(方法)がMaterials and Methods(材料と方法)になる場合や、Methods(方法)の前にLiterature Review(文献レビュー)が入る場合、Results(結果), and Discussion(考察)が一体になることもあります。

自身の研究分野で一般的な論文構成を把握し、論文執筆に使用するワードファイルなどに、構成の見出しをあらかじめ書いておきましょう。

論文構成の見出しを書いておくだけで、英語論文の執筆を始めるハードルを少し下げることができます。

専門用語などの英語表現リストを準備する

文中に頻出する専門用語の英語表記がわからないと、執筆しながらその都度調べることになり、大変非効率です。

掲載されている英語論文などを参考にして、よく使う専門用語や英語表現をリストにしておくと、スムーズに執筆できます。

英語論文を執筆する際のポイント

ここまで、英語論文を執筆する準備についてお話しました。

次に、英語論文を実際に執筆するに当たってのポイントを解説します。

英語論文は最初から英語で執筆する

英語論文を初めて執筆する、または執筆経験が浅い場合、先に日本語で書いて後から英訳しようと考える方もいらっしゃるかもしれません。

ただ、日本語を英訳すると、どうしても不自然な英語表現になりがち。

自然な英文を書くためには、書き出しから英語で始めたほうが無難と言えるでしょう。

なお、英語で執筆する際は、英語論文は口語表現とは異なるアカデミック英語で書くことを意識してください。

同じ意味を表す言葉でも、口語で使われる表現と、英語論文で使われる表現では大きく異なります。

たとえば、「推測する」は口語では”guess”が使われることが多いですが、英語論文では文脈に応じて”speculate”, ”presume”, ”deduce”など様々な動詞が使われます。

英語論文はパラグラフライティングで執筆する

英語論文は、一般的に「パラグラフライティング」で執筆します。

パラグラフライティングとは、1文目に各パラグラフの要旨を表す「トピックセンテンス」を書き、パラグラフの2文目以降は、トピックセンテンスの内容を裏付けるデータ、理由、詳しい説明などを書く方法です。

ここで大事なことは、1つのパラグラフに2つ以上のトピックを含めないこと。

2つ以上のトピックにまたがりそうな時は、パラグラフを分けます。

日本語の文では、英文ほど厳密に1段落に1つのトピックしか含めないわけではありません。

英語論文を日本語で書いてから英訳するのがおすすめできないのは、こういった理由もあります。

執筆の最初から、英語のパラグラフライティングで書くことをおすすめします。

英語論文の内容を前もって日本語で書いておきたい場合は、パラグラフライティングを意識して、後で英訳しやすいような書き方にしましょう。

英語論文は執筆しやすい部分から始める

前述したとおり、英語論文の構成はある程度決まっています。

だからと言って、論文構成の順番通り書いていかなければならないわけではありません。

論文構成を決めたら、執筆しやすい部分からどんどん書き進めていく方がベターです。

英語論文の最初に位置するIntroduction「序論」は、研究背景や他の研究者の研究結果について言及し、論文全体の内容を含むため、実は最も書くのが難しい部分です。

「序論」は後回しにして、客観的な事実を書くため比較的書きやすいMethods(方法)やResults(結果)から書き始める方が良いでしょう。

英語論文の執筆や準備に役立つツール

ここからは、英語論文執筆に当たって役立つツールをいくつかご紹介します。

最近はインターネット上で無料で使えるツールの中にも、非英語ネイティブの方が英語論文を執筆するに当たって役立つツールが増えています。

各ツールの特徴を知り、ぜひ活用してみましょう。

【論文執筆に役立つツール一覧】

 

  ツールの例
論文データベース CiNii Articles(日本語論文)
Web of Science(英語論文)
文献管理ツール RefWorks
EndNote
文例検索ツール Ludwig
Linguee
英文校正アプリ Grammaly

論文データベース

英語論文を執筆する際に欠かせない参考文献の論文を探す際は、論文データベースを活用しましょう。

OPACなどでは掲載された雑誌は検索できても、そこに掲載された特定の論文を検索することはできません。

特定の論文を検索したり、あるテーマに沿った論文を検索するには、論文データベースが役に立ちます。

論文データベースの代表的なものとして、日本語論文を探すには CiNii Articles、定評のある学術雑誌に掲載された英語論文を探すにはWeb of Scienceがあります。

いずれの論文データベースも、その論文の引用文献についても確認することができます。

文献管理ツール

専門分野にもよりますが、英語論文執筆に当たって参考にしたり引用したりする文献のリストは通常膨大になります。

手作業で管理するのは大変ですし、抜け漏れが生じやすくなります。そこで、文献管理ツールとしてRefWorksやEndnoteを活用しましょう。

文献管理ツールは、オンラインで文献を管理し、様々なジャーナルの投稿規定に沿った「引用文献リスト」を、簡単に作ることができます。

上述したCiNii Articlesなどの論文データベースから、論文の情報を文献管理ツールに直接取り込むことも可能です。

文例検索ツール

英語表現を知っていても、それをどのような文脈や文構造で使うか分からない時は、LudwigやLingueeなどの文例検索ツールが便利です。

文例を調べたい英語表現を入力すると、その英語表現が実際の英語文献に使用されている文例が表示されるため、英語表現の正しい使い方を知ることができます。

また、文例のリンクから元の文献を参照することもできるので、より深く文例の文脈を知ることもできます。

特に、Ludwigは世界的な雑誌や専門誌など、信頼できる文献のみから文例を検索するので、英語論文などのフォーマルな英文を執筆する際にも、参考になります。

英文校正アプリ

英語の誤りをチェックしたい時に活用したい英文校正アプリ。

最近は、無料のものでも大分精度が上がっています。英語論文などアカデミックな英文のチェックにも使われているのがGrammarlyです。

スペルミスはもちろん、語彙の誤りや文法的に間違っている部分を指摘の上修正案を提示してくれ、基本的な英語の間違いを修正するには十分なレベルです。

なお、自分が書いた英語表現が正しいかを調べる方法に、Google翻訳やDeepLなどの翻訳ツールを活用する方法もあります。

日本語を入力すると瞬時に英訳が表示されるので、自分が書いた英文と比べることで、よりよい英語表現を検討することができます。

英語論文をジャーナルに投稿する前にチェックすべきこと

書き上げた英語論文をジャーナルに投稿する前に、英語論文の内容やデータの正確性、英文の誤り、ジャーナルの投稿規定が守られているかをチェックしましょう。

以下で詳しく説明します。

英語論文の内容やデータの正確性

英語論文に掲載したデータが合っているか、元データや研究結果と照合しましょう。

データが間違っていると英語論文自体の信頼性がゆらぎかねません。
また、英語論文に記載したデータなどの情報は、信頼できるソースに基づいているかもチェックポイントです。データソースが明示されているかも重要なチェックポイント。

また、Methods(「方法」)で記載した内容は再現性が重要です。

自分で読み直してみて、他の研究者がその実験または研究を再現できるくらい詳細かつ正確に書かれているかチェックし、足りない部分がある部分は書き足し、分かりにくい表現がある場合はより明瞭な表現に直しましょう。

英文に誤りがないか

英語自体の誤りについても、自分で分かる限りチェックしましょう。

上述した英文校正アプリを利用した場合にも、自分の目で見て確認することが欠かせません。

英文校正アプリは、専門的な内容に応じた修正まではカバーできないことが多く、専門用語を認識せず別の単語に修正されることもあるためです。

ジャーナルの投稿規定が守られているか

ジャーナルの投稿規定については、前述したように執筆前に確認すべきですが、執筆後にも投稿規定にしたがって書かれているか、ジャーナルに投稿する前にチェックしましょう。

投稿規定にしたがって書かれていないと、ジャーナルからリジェクトされる要因になることもあります。

英語論文はプロの校正者にチェックしてもらうのもおすすめ

英語論文を書き上げた後、便利なツールを活用して自分で何度も推敲することは欠かせません。

ただ、英語論文は専門的な内容を、母国語でない英語で書くもの。

自分でチェックしただけでは、英語の文法的な誤りや、不自然な英語表現などを見落としてしまうおそれもあります。

専門分野に詳しい校正者がいる英文校正者に依頼すると、英語の誤りや不自然な表現をネイティブの校正者に修正してもらえます。

また、ジャーナルの投稿規定にしたがっているか、専門的な内容を踏まえて論文構成や論理的一貫性についてもチェックしてもらえるので、おすすめです。

まとめ

英語論文は、ネイティブであってもスラスラ書けるわけではありません。

日本人が英語論文を執筆するに当たっては、執筆前の事前準備が大切です。

データや参考文献をあらかじめ用意し、論文内容に合ったジャーナルを選び、納期に合わせ余裕を持ったスケジュールを立てましょう。

あらかじめジャーナルの投稿規定を確認し、英語論文の構成を先に作って、専門用語などの英語表現リストを作っておくことで、執筆がスムーズになります。

この記事では、英語論文を執筆する際のポイントもご説明しました。

また、紹介した英語論文執筆に役立つツールも、ぜひ活用してみてください。

英語論文をジャーナルに投稿する前には、英語論文の内容や英語自体に誤りがないか、投稿規定にしたがっているかをチェックし、ジャーナルにアクセプトされる可能性を高めましょう。

英語論文執筆が初めての方や慣れていない方は、プロの校正者がいる英文校正会社に依頼するのもおすすめです。

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