論文出版にはどれくらいの英語力が必要?校正サービスを紹介
論文出版にはどれくらいの英語力が必要なのか、と疑問をお持ちの研究者も多いのではないでしょうか?
日本語の論文よりも英語の論文の方が読者の幅が一気に広がりますし、海外のジャーナルに出版することで、世界標準の評価を受けられます。
本記事では、英語で論文出版するための手順を解説するとともに、英語に自信がない方向けに、校正サービスの依頼方法も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
コラムの目次
論文出版は英語で行うべき?
論文出版は英語で行うべきなのでしょうか?実際に英語論文を書くべきか悩んでいる方は少なくありません。
英語で論文を出版することで様々なメリットを得られる一方で、英語で論文出版するには一定の英語力が必要です。
そのため、英語で論文出版をするメリットと必要な英語力を確認して、論文出版を英語で行うべきか判断するようにしましょう。
グローバル水準の査読を受けられる
論文出版を英語で行うことで、読者の幅が広がるため、グローバル水準の査読を受けられる点がメリットに挙げられます。
日本語で論文を仕上げる場合、読者は日本国内、もしくは日本語ができる人に限られます。
しかし、世界共通語の英語を使用することで、読者の幅が一気に広がるのです。
世界各国の多くの人の目に触れることで、研究に新しい視点を取り入れることができます。
そのため、研究をさらに発展させて、改善していくチャンスが増えるのです。
研究者としての評価が高まる
論文出版を英語で行えば、研究者としての評価が高まる可能性があります。
海外のジャーナルに出版した経験は、日本国内で高く評価されるのです。
例えば、就職活動や昇進などの際に、英語で論文を仕上げた経験が役に立つことがあります。
特に、グローバル展開している企業であれば、海外の分野での活躍経験は評価基準としてみなされることが多いです。
そのため、研究者としての評価やスキルを高めたいという方は、英語での論文出版に挑戦するとよいでしょう。
共同研究者が見つかる
海外のジャーナルに論文を出版することで、世界で共同研究者を見つけられる可能性が高まります。
同じような興味関心を持っている研究者や、同じ分野の研究を行っている研究者に論文を読んでもらえれば、一緒に研究を行いたいと感じる研究者も出てくるのです。
例えば、日本国内で同じ研究を行っている研究者を見つけられない場合や、日本でまだ発展していない研究領域に携わっている場合、海外に目を向けることで共同研究者が見つかることがあります。
共同研究者が見つかれば、研究のスピードが上がったり、視点が変わることで新たな観点からの取り組みを取り入れられたりなどの多くのメリットが得られます。
論文出版にはどれくらいの英語力が必要?
英語で論文出版を行うには、どれくらいの英語力が求められるのでしょうか?
英語で論文を書きたくても、英語力が不足していることが原因で論文を仕上げられない人も少なくありません。
また、海外のジャーナルが定めている規定を正しく読解できずに、規定通りに論文を完成させられない人も見受けられます。
さらに、日本国内では評価されるような質の高い論文であっても、英語力によって評価が下がってしまうケースもあります。
英語で論文出版を行いたいと感じている人は、このような事態に陥らない程度の英語力が必要であるといえるでしょう。
ある程度の英語力があれば、校正サービスなどを利用して英語力をカバーすることができます。
論文出版の手順やプロセス概要
ここでは、論文出版の手順やプロセスを解説します。
大体の流れをあらかじめ把握しておくことで、アクションにつなげやすくなります。
IMRAD(イムラッド)形式で論文を書く
まず、論文を書く際は「IMRAD(イムラッド)形式」を用いることをおすすめします。
IMRAD形式とは、以下の頭文字をとった言葉で、論文を仕上げる際の形式のことです。
- Introduction(導入)
- Materials and methods(材料と方法)
- Results(結果)
- Discussion(考察)
このIMRAD形式は、学術出版に適しているとされており、論文を書く際はこの形式をベースにすることが求められます。
この形式を用いることで、読者にわかりやすく論文を読んでもらうことができます。
特に導入部分は、論文にはどのようなことが書かれているかを示す重要な部分です。セクションごとにわけて、わかりやすい論文を目指しましょう。
ジャーナルを選定する
論文が仕上がったら、論文を出版するジャーナルを選定します。
自分が行っている研究と、読者の興味関心がマッチしているジャーナルを探すことが大切です。
ジャーナルを探す1つの手段として、Elsevier Journal Finder(エルゼビア・ジャーナル・ファインダー)や、EndNote Match(エンドノート・マッチ)、 Jane(ジェーン)などのツールを利用する方法があります。
ジャーナルに掲載されている他の論文を見ながら、自分の論文を掲載してもられる可能性があるかを判断することが大切です。
論文を提出する
投稿するジャーナルが決まったら、いよいよ論文を提出しましょう。
基本的にはオンライン投稿システムやEメールを利用して論文を送付します。
なお、論文を提出する前にしっかりとジャーナルが定めている規定を確認して、規定通りに仕上げられているか確認することがとても重要です。
規定に反している論文は、質の良い論文であってもリジェクトされてしまう可能性が高まります。
また、論文を提出する前に教授やゼミの仲間などに論文を一度読んでもらうとよいでしょう。
第三者の視点から意見をもらうことで、よりわかりやすい論文を目指すことができます。
審査を受ける
論文をジャーナルに提出した後は、査読者による審査を受けます。
提出したジャーナルが、掲載するのにふさわしいと判断した場合、「アクセプト」の連絡がきます。
論文が基準に満たなかった場合、「リジェクト」、もしくは「要修正」の連絡がくるので、速やかに対応するようにしましょう。
リジェクトされたら、別のジャーナルに提出することも可能です。
そのため、リジェクトされたらどこのジャーナルに提出するか、あらかじめ考えておくとスムーズに対応できます。
なお、この審査段階では時間を要することを覚えておきましょう。
研究者が提出した論文を綿密に審査しているため、提出してから結果が出るまで時間がかかります。
ゲラ刷りを校正する
ジャーナルから「アクセプト」の連絡があった場合、続いてはゲラ刷りを校正する段階にうつります。「
アクセプト」された場合であっても、修正を数回繰り返すのが一般的です。
修正が完了したら、投稿した者はジャーナルからゲラ刷りを受け取ります。
ゲラ刷りの校正が完了したら、いよいよ最終版の論文を提出します。
最終版を提出できたら、後は論文がジャーナルで出版されるのを待つだけです。
なお、ここまで紹介した論文出版のプロセスはあくまで一般的なケースのものになります。
ジャーナルによって違ったプロセスが求められることもあるので、状況にあわせて柔軟に対応するようにしましょう。
研究者の英語力をカバーする方法
ここでは、英語力に自信がない研究者の方に向けて、研究者の英語力をカバーする方法を解説します。
ネイティブレベルの英語力がなくても英語で論文を完成させられる方法を確認していきましょう。
オンラインの校正ツールを利用する
英語で仕上げた論文のミスなどを確認する場合、オンラインの校正ツールを利用する人がいます。
オンラインの校正ツールでは、文法があっているか、スペルミスがないかなどの基本的な部分をチェックすることが可能です。
例えば、Grammarly(グラマリー)、ProWritingAid(プロ・ライティング・エイド)、Ginger(ジンジャー)などのオンラインツールが挙げられるでしょう。
無料で使えるものから、有料版のものまで、様々なツールが存在します。
教授やネイティブの知り合いに確認してもらう
英語の論文が仕上がったら、教授やネイティブの知り合いに確認してもらうとよいでしょう。
特に、同じ研究領域の英語に精通している教授であれば、英語のミスだけでなく、論文の内容もチェックしてもらえます。
ネイティブの知り合いに頼む場合、ある程度学術領域に携わった経験がある方に頼むとよいでしょう。
論文ならではの言い回しやボキャブラリーなどを確認してもらえます。
ただし、英語に精通している教授やネイティブの知り合いが周りにいないという方や、忙しい中、校正を頼むのが申し訳ないと感じる方も少なくありません。
この方法は、あくまで周りに依頼できそうな教授や知り合いがいる場合に限ります。
校正サービスに依頼する
英語の論文をチェックする方法として、校正サービスに依頼する方法が挙げられます。
校正サービスとは、英語に自信がない方に向けて、英文添削・校閲のプロが論文を確認するサービスのことです。
専門知識を有するプロに依頼するため、基本的に費用は高くなる傾向にあります。
しかし、チェックを徹底してもらえるので、安心してジャーナルに出稿できます。
なお、校正サービスを選ぶ際は、これまでに自分の研究領域の論文を担当したことがあるかなど、実績を確認するとよいでしょう。
分野によっては専門用語が必要になるため、自分の研究領域をカバーしてもらえるかを判断することが大切です。
論文出版を英語で行う際のポイント
英語で論文を書く場合、どのような点に注意すればいいのでしょうか。
ここでは、論文出版を英語で行う際のポイントを紹介します。
一貫性があるか確認する
英語で論文を書く際は、一貫性があるか確認するようにしましょう。
文章の書き方に一貫性がないと、読者に違和感を与えてしまいます。
例えば、前の章では「〇〇」という言い回しだったのに、次章から突然「●●」に変わっていると、読者は困惑してしまいます。
また、文体や言い回しなども個人によって差が出る部分なので、一貫性を意識して論文を仕上げることが大切です。
そのため、第三者に論文をチェックしてもらう際も、文章の一貫性に着目し確認してもらうとよいでしょう。
剽窃にあたる箇所がないかチェックする
論文を提出する前に、剽窃にあたる箇所がないかチェックすることも重要です。
意図的でなくても、他の論文と内容が被ってしまうと、剽窃が疑われてしまいます。
他の文献から引用する際は、必ず参考文献を掲載しなくてはいけません。
特に、論文を母国語でない言葉で仕上げる場合、知らずのうちに他の論文の言い回しを使用していたなどのケースに陥ることがあります。
論文が完成した後は、剽窃チェックツールなどを用いて、剽窃にあたる部分がないかチェックするようにしましょう。
音読する
論文が完成した後は、音読しながら確認していくことをおすすめします。
声に出すことで、言い回しが自然であるかを判断しやすくなります。
なお、現在は自分が書いた論文を読み上げてもらえるツールなども存在します。
例えば、Google Chromeの拡張機能である「Read Aloud(リード・アラウド)」などが挙げられるでしょう。
しかし、音読で言い回しが自然であるかを判断する場合、ある程度の英語力が求められます。
そのため、リスニング力など、一定の英語力がある方におすすめの確認方法です。
まとめ
今回の記事では、論文出版を英語で行おうと考えている研究者の方などに向けて、英語で論文を出版する手順や概要を解説しました。
英語で論文出版をする場合、グローバル水準の査読を受けられる、研究者としての評価が高まるなどのメリットが得られます。
さらに出版した論文が多くの人の目に触れることで、共同研究者を見つける可能性が世界中に広がります。
ぜひ興味のある方は英語の論文に挑戦してみるとよいでしょう。
英語で論文を仕上げるには、一定の英語力が求められますが、現在は校正ツールや素晴らしい校正サービスなどが数多く展開されています。
これらを利用して、海外のジャーナルに出稿してみましょう。