プルーフリードとは?意味や翻訳における重要性を解説

「プルーフリード」は、翻訳作業においてもっとも重要と言ってもいい作業のことです。しかし、その名があまり知られていないせいか、世間一般には認知度が低い工程でもあります。具体的にプルーフリードではどのようなことをし、結果何が得られるのでしょうか。そしていつプルーフリードは必要になり、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。今回は、プルーフリードの概要と役割、依頼するタイミングや費用について紹介します。
コラムの目次
プルーフリードとは?
「プルーフリード」、もしくは「プルーフリーディング」とは、翻訳作業における最終工程であり、もっとも重要な作業です。すでに推敲・校正がなされた翻訳文を納品する前に行う、一種のクオリティチェックのことを差します。つまり、完成品を再度、本当に完成品として提出していいかどうかを判断する工程なのです。
よく「ネイティブチェック」と一緒にされますが、プルーフリードとネイティブではその役割に違いがあります。プルーフリードの役割は、すでに修正まで完了した完成品の最終確認です。
一方のネイティブチェックはその前段階である誤訳やミスを修正するのが、大きな役割です。両者は似て非なるもので、順番で言えばネイティブチェックが先に来ます。
ネイティブチェックだけでも、翻訳文の精度は非常に高くなります。しかし、ネイティブチェックするのは人であり、100%ミスがないわけではありません。
また、翻訳文の精度の高さが求められるものには、プルーフリードの工程を外すわけにはいきません。ですが、すべての翻訳文に必要な工程ではないことを頭に置いておきましょう。
しかし、やらないよりはやったほうが、より正確な翻訳文が完成することは事実です。ネイティブチェックでは見抜けない誤訳やミスを回避するために、プルーフリードがあるのです。
プルーフリードは具体的に何をする?
プルーフリードの具体的な作業内容は、主に2つに分けられます。
ひとつは、原文と翻訳された文章を比較し、スペルミスや誤訳を見つけて修正することです。もうひとつは、翻訳された文章よりも、さらにいい、原文に近い言い回しや表現がないかを探すことです。この2つの作業は、文章ひとつひとつを丁寧にチェックし、該当する箇所があれば修正されることになります。
一般的に、プルーフリードを挟まずにネイティブチェックだけで済ませるクライアントも多いのが現状です。しかし、ネイティブといってもチェックするのは人間なので、100%完璧な知識を持っているわけではありません。
日本語に置き換えてみればわかりますが、日本中のすべての日本語を理解し、解説できる人がいるでしょうか。おそらくいないということは誰にでもわかるでしょう。ネイティブチェックにも同じことが言えます。つまり、同じネイティブでもレベルに差があるのです。
このレベルの差を埋め合わせるために行われるのがプルーフリードです。すべての翻訳文に対して必要になるわけではありませんが、プルーフリードを挟むか挟まないかで、翻訳文のクオリティはかなり変わってくると考えていいでしょう。
ちなみに、プルーフリードで、あまりにも翻訳文のレベルが低いと判断された場合、書き直しになることもあります。プルーフリードはあくまでも翻訳文のブラッシュアップと原文に近い内容に翻訳されているかどうかを判断するものです。
最終段階で突っぱねられることはそうそうないでしょうが、適当に翻訳文を作ってみてもらうだけではいけません。誰がどう見ても完成というレベルでプルーフリードを依頼しましょう。
プルーフリードを依頼するシーンは?
プルーフリードは、すべてのシーンで必要になるわけではありません。逆に言えば、必要になるシーンはある程度決まっており、どういうときに依頼をされるのか、翻訳会社側もよくわかっています。どこまでが必要という明確な線引きはありませんが、プルーフリードを必要とするのは、誤訳があってはいけない、翻訳文に精度の高さが求められる場合です。
具体的には、法務や契約書といった企業関係の書類や技術書、お金が絡む金融関係の書類や会計資料、学術論文が該当します。また、医療分野や法律の条文など、絶対にミスをしてはいけないものもプルーフリードの対象と考えていいでしょう。このような分野では、非常に高いレベルでの翻訳が求められます。
誤訳ですが、ネイティブチェックの段階で気が付かないものか疑問に思った人もいるでしょう。チェックするのはその言語を母語とする人びとやそれに準ずる語学力を持った方なので、このようなミスにはいち早く気が付きそうなものです。
しかし、先にも少し述べたとおり、チェックするネイティブにもレベルの差があります。知っていることもあれば、知らないこともあるのが人間です。ネイティブだからと言ってその言語のすべてを知っているわけではありません。
例えば、医療分野の文章を翻訳し、プルーフリードをせずにクライアントへ提出したとしましょう。もし翻訳文の中に誤訳があり、それが人命にかかわるようなミスにつながるものであったなら、大きなトラブルどころの話ではなくなります。
また、契約書でも同じように、不明瞭のまま契約書を結び、のちのちトラブルになった時に対処できなくなってしまうことも考えられます。このようなリスクを回避するために、しかるべき文章を翻訳した際には、リスク回避も含めてプルーフリードを依頼する必要があるのです。
「多少意味がとおらないけど、きっと大丈夫」では済まされない事態になる前に、しっかりと対処しておきましょう。
プルーフリードの依頼相場は?
さて、気になるのはプルーフリードの依頼相場です。これは翻訳会社や依頼される翻訳文のジャンル、どの程度のチェックまで希望するかによって異なりますが、3~25円が1ワードあたりの費用と考えていいでしょう。ジャンルを別にした希望する作業内容だけで絞ると、具体的には次のようになります。
依頼する内容 | 費用相場 |
スペルチェックおよび文法チェック | 3~8円 |
スペル・文法チェックおよび単語の入れ替え | 8~12円 |
スペル・文法チェックおよびより高度な校正 | 13円以上 |
また、プルーフリードを行う際に費用が大きく変わる要素でもある専門性に関してもおさえておきましょう。漫画や雑誌、貿易や経済は13~20円のあいだに収まり、それほど高い部類に入りません。
一方で医薬、法務、建築などより高度な専門知識が求められる場合は25円前後することが普通です。このように、同じプルーフリードでも依頼する翻訳会社やチェックのレベル、ジャンルによってかかる費用が異なります。
気になる場合は、一度翻訳会社に見積もりを出してもらうといいでしょう。
まとめ
プルーフリードの概要と具体的な作業内容、求められるシーンと依頼する際の費用相場について説明してきました。ネイティブチェックよりもより厳格で、かつ翻訳文のクオリティを求めるなら、依頼しておくべきチェックでしょう。質の高い翻訳文を求めているのであれば、普通の翻訳と一緒にプルーフリードまで翻訳会社に依頼することをおすすめします。