英検1級のライティング対策に添削は不可欠!

公開日:2022.09.14

国内で最も知名度が高い英語資格試験である英検(実用英語技能検定)。

英検は受験にも活用されているほか、就職・転職の際にも英語力の証明となります。その最上級レベルである英検1級はどれくらいのレベルで、どんな試験内容なのでしょうか。

また、英検の中でライティング問題は配点割合が高い一方、なかなか対策しづらい分野です。
本記事では、英検1級ライティングの概要と添削も含めた対策方法について徹底的にご紹介します。

英検1級ってどんな試験?

他の英語試験と比較して英検1級はどれくらいのレベルなのか、また英検1級の試験内容と配点についてもご説明します。

英検1級はどのくらいのレベル?

英検には5級から1級まで7つの級があり、その中でも英検1級は「大学上級程度」のレベルとされています。

【英検各級のレベル】

レベルの目安
1級 大学上級程度 広く社会生活で求められる英語を十分理解し、また使用することができる。
準1級 大学中級程度 社会生活で求められる英語を十分理解し、また使用することができる。
2級 高校卒業程度 社会生活に必要な英語を理解し、また使用することができる。
準2級 高校中級程度 日常生活に必要な英語を理解し、また使用することができる。
3級 中学卒業程度 身近な英語を理解し、また使用することができる。
4級 中学中級程度 簡単な英語を理解することができ、またそれを使って表現することができる。
5級 中学初級程度 初歩的な英語を理解することができ、またそれを使って表現することができる。

(出典:公益財団法人日本英語検定協会ホームページ)

また、外国語の能力に関する国際的な統一基準「CEFR(セファール)」に基づき英検のレベルを見てみると、英検1級は6つのレベルの内、上から2番目の「C1」レベル程度とされています。

【主要な英語試験のCEFR相当レベル】

CEFR 英検 IELTS TOEFL iBT ケンブリッジ

英語検定

C2   8.5-9.0   CPE
C1 1級 7.0-8.0 95-120 CAE
B2 準1級 5.5-6.5 72-94 FCE
B1 2級 4.0-5.0 42-71 PET
A2 準2級 3.0   KET
A1 3級 2.0    

(出典:公益財団法人日本英語検定協会ホームページ)

「CEFR」の「C1」レベルに相当する他の英語試験を見てみると、「ケンブリッジ英語検定」ではCAE、「TOEFL iBT」では95-120点程度、「IELTS」では7.0~8.0点程度です。

また、ライティングテストやスピーキングテストが必須でない「TOEIC」とは単純に比較できませんが、英検1級はTOEIC900点以上を取るより難しいと言われます。

英検1級は8割程度の点が取れれば合格でき、また合格率は近年公表されていないもののおよそ10%程度と言われており、難関試験であることが分かります。
特に、試験形式が変更された2016年度以降、英検1級の難易度が上がったと言われています。

英検1級の合格者層は、難易度が高いだけあって社会人が多く、学生は高校生と大学生が多いのが特徴です。

ただし、昨今は英語教育熱の高まりで英検受験者の低年齢化が進んでおり、小学生・中学生の内に英検1級に合格する方もいます。

英検1級に合格するまでどれくらいの時間がかかるのかと言うと、個人差や勉強中の集中度にもよるので一概には言えませんが、英検準1級とのレベル差は大きく、準1級を合格している方でも500時間程度は必要と言われています。

英検1級に必要な語彙数は10,000~15,000語。
ただし、こられの語彙の中には、読んだり聞いたりした時に理解できればよい「受容語彙」も含まれています。

このように、英検1級合格には計画的な対策が必要となります。

英検1級の試験内容

英検は「読む」「聞く」「書く」「話す」という「4技能」の能力を測ることのできる英語試験。
英検1級の試験では、一次試験で「筆記」テストと「リスニング」テストが、一次試験に合格した場合のみ二次試験で「スピーキング」のテストが行われます。

【英検1級試験の概要】

  テストの種類 配点 制限時間
一次試験 筆記 リーディング 850点 100分
ライティング 850点
リスニング 850点 約35分
二次試験 スピーキング 850点 約10分

制限時間は、「筆記」テストが100分、「リスニング」テストが約35分、「スピーキング」テストが約10分です。

「筆記」テストの中には「リーディング」と「ライティング」が含まれます。
リーディングの問題も長文読解を含めボリュームがあるため、ライティングにかけられる時間は20~25分程度と考えておくと良いでしょう。

配点は、「リーディング」、「ライティング」、「リスニング」、「スピーキング」のテストそれぞれに850点ずつであり、ライティングの配点割合が一次試験の3分の1と非常に高いことが分かります。

英検1級で求められるライティングのレベル

次に、英検1級の「ライティング」テストのレベルについて見てみましょう。

英検1級のライティングの審査基準は、「社会性の高い幅広い話題についてまとまりのある文章を書くことができる。」(公益財団法人日本英語検定協会より)こととされています。

また参考までに英検1級に相当するCEFR「C1」レベルのライティング審査基準は、「複雑な話題について明確で、しっかりとした構成の、詳細な文章を作ることができる。」(ブリティッシュカウンシルホームページより)ことです。

英検1級ライティングの採点は、下の表のとおり「内容」、「構成」、「語彙」、「文法」の4点を基準としています。

【ライティングの採点基準】

内容 課題で求められている内容(意見とそれに沿った理由)が含まれているかどうか
構成 英文の構成や流れがわかりやすく論理的であるか
語彙 課題に相応しい語彙を正しく使えているか
文法 文構造のバリエーションやそれらを正しく使えているか

(出典:公益財団法人日本英語検定協会ホームページ)

質問に対する「意見」とその「理由」を明確に示していること、英文の構成にしたがって論理的な英文を書くこと、多様な表現や文構造を使用することが求められていることが分かります。

英検1級ライティングが難しいと主な理由として、
・語数が多い
・日常会話から離れたトピックに関して英語で記述する
・試験形式の変更により「論点」が提示されなくなった
の3つが挙げられます。

英検1級ライティングは200~240語程度で書くこととされており、英検準1級の120~150語と比べて大幅に増えています。

また、「意見」をサポートする「理由」も英検準1級では2つですが、英検1級では3つ書かなければいけません。

英検1級ライティングのトピックは、「高齢化社会」、「教育」、「犯罪」など多岐にわたる時事問題・社会問題に関わるテーマです。

普段からニュースや新聞などを通じて時事情報に触れ幅広いトピックに親しんでいること、社会問題などについて自分なりの意見を持つことが必要となるでしょう。

3つ目の理由にある「論点」とは、自分の「意見」の根拠となる「理由」を記述する際のヒントのようなもので、2016年度の試験形式の変更以前は6つの論点が提示されておりその中から3つ選んで記述することができました。

しかし、現在は自分で3つの理由を考えだす必要があります。

なお、英検1級ライティングで間違えやすいポイントが、以下の3点です。
①課題とあまり関係のない話を書いてしまう
優れた内容のライティングであっても、課題とずれた解答であったら高得点はもらえません。
課題と関連性の薄い話は入れず、課題に沿った内容だけを書くようにしましょう。

②解答は長ければ長いほど良い
また、長く解答を書けば書くほど加点されると言うわけでなく、示されている語数の目安の範囲内であれば問題ありません。

③「意見」の内容も評価の対象となる
最後に、英検ライティングはあくまで英語の力を測るテストなので、「意見」の内容が素晴らしいかどうかは評価の対象外です。
「意見」が課題に合った内容で、その「理由」が明確に示されていれば大丈夫です。

以下で、英検1級ライティングにお勧めの対策をお話します。

英検1級のライティング対策はこれ!

英検1級ライティングの対策でお勧めの方法は、ライティングの「構成」や「頻出フレーズ」を学び、良い文章にたくさん触れ、自分で実際に書いてみることです。以下で詳しく見ていきましょう。

英検1級ライティングの構成を知る

英検1級ライティングは、Introduction(序論)、Main Body(本体), Conclusion(結論)の構成で書くように指定されています。

【Introduction(序論)】
「序論」では、まず課題に対する自分の「意見」を明確に述べます。
英検1級のライティング課題は、「YesかNoで答える疑問文」または「AgreeまたはDisagreeで答える平叙文」のどちらかです。

(Yes/No疑問文の例)
問題例)Should cars be limited in the city center?
意見の例)I think cars should be limited in the city center.

(Agree or disagree問題)
問題例)Agree or disagree: cars should be limited in the city center.
意見の例)I agree that cars should be limited in the city center.

その後本体に続くように、簡潔に「理由」を述べます。

【Main Body(本体)】
「本体」では、「序論」で述べた自分の意見の根拠となる3つの理由を3段落に分けて記述します。
各段落においては、最初の文でまず「理由」を明確に述べ、その後詳細な説明や具体例を2文程度で書きます。

【Conclusion(結論)】
「結論」では「序論」で述べた自分の意見をもう一度述べます。まったく同じ分を繰り返すのではなく、言い回しなどを少し変えると良いでしょう。

以上のように、英検1級のライティングは計5段落で構成されています。

英検1級ライティングの頻出フレーズを学ぶ

英検1級ライティングの対策には、ライティング全般に使える「接続詞・つなぎ言葉」や「トピックごとのキーワード」などの頻出フレーズを学ぶことも大事です。

【英検1級ライティングに役立つ接続詞とつなぎ言葉の例】

接続詞 because, although, while, and, but
つなぎ言葉

(副詞)

therefore/thus, however, first, second, third, in addition/furthermore, for example, in conclusion/for the reasons mentioned above

「接続詞」は一つの文の中で使われ、語と語、節と節、句と句をつなぐのに対し、「つなぎ言葉(副詞)」は文と文をつなぎます。

例)
We should care more about the environment because it is important.
The environment is important. Therefore, we should care more about it.

これらの「接続詞」、「つなぎ言葉」はたくさんありますが、まずは自分が使いやすいものを選んで一覧表にしておくことをお勧めします。

【英検1級ライティングのキーワード例】

aging society (高齢化社会)、gender equality (男女平等)、copyright infringement (著作権侵害)、fair trade (フェアトレード)、humanitarian aid(人道支援)、greenhouse effect(温室効果)、online learning(オンライン学習)、artificial intelligent (人口知能)、genetically modified crops (遺伝子組み換え作物)、work-life balance(ワークライフバランス)

これらのキーワードを眺めるだけで、英検1級のライティングで扱われるテーマがいかに幅広いものであるか分かります。英文記事などを読んでこれらのキーワードに親しみ、正確なスペリングで書けるよう練習しておきましょう。

英検1級ライティングを良い文章から学ぶ

英検1級ライティングの対策として、良い文章から学ぶことも欠かせません。

市販されている英検1級ライティングの対策本や英検過去問の模範解答を読み、自分が真似したい表現があったら記録しておくと良いでしょう。

また難易度の高い英検1級ライティングで合格点を取るためには、試験対策に特化した教材だけでなく、日常的に英文記事などを読む習慣を付けることをお勧めします。

英検1級ライティングを実際に書いてみる

英検1級対策本や過去問に載っているライティング問題について、実際に自分なりの解答を作ってみましょう。

ライティングの解答を作る際は、いきなり書き始めるのではなく、まずこれから書く内容、つまり自分の「意見」とその根拠となる3つの「理由」を決め、箇条書きで良いのでメモしておきます。

その後、上述した英検1級ライティングの構成(序論、本体、結論)に従って書いていきます。

いったん書き上げたら必ず自分で見直す習慣を付けましょう。
見直すポイントはスペリングミスだけでなく、主語と述語の一致、句読点の使用方法、論理一貫性などです。

英検1級ライティング対策には添削も不可欠

最後に、英検1級ライティングの対策として、ライティングを添削してもらうことをお勧めします。

なお、英検1級ライティングはレベルが高く添削できる人が限られるため、プロの校正会社に添削を依頼することも検討してみましょう。

ライティングを添削してもらうと英語の間違いを修正してもらえるだけでなく、より自然な表現や多様な英文構造を提案してもらえるため、ライティング力向上に非常に役に立ちます。

添削してもらったライティングはそのままにせず、
・タイピング
・プリントアウト
・音読
・模写
するなどして、完全に自分のものにしましょう。

ちなみにライティングの内容はスピーキングテストの一部と内容がかぶるため、添削してもらって正しい英語に修正した英文を音読することで、スピーキング対策にもつながります。

まとめ

英検1級は英語試験の中でも難易度が高く、特にライティングの対策は独学が難しいと言われています。
ライティングに必要な基本的な知識を習得したら、自分で解答案を作りプロに添削してもらうことで、英検1級の合格に必要なライティング力を身につけましょう。

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