英文校正にネイティブチェックは必須?

公開日:2021.12.06
最終更新日:2023.08.09

多くの英文校正会社は、「ネイティブチェック」を行っています。

特に、ビジネス上のフォーマルな英文や、海外のジャーナルに投稿する英語論文などは、正しい英語が要求されるため、ネイティブチェックが欠かせません。

当記事では、そもそもネイティブチェックとは何か、ネイティブチェックを受けるメリット、ネイティブチェックを依頼する時に確認した方がいいこと、依頼までのプロセスなどを、順を追って詳しくご説明します。

 

英文のネイティブチェックとは?

英文のネイティブチェックとは何でしょうか。「日英翻訳」との違いや、「英文校正」との関係などについてご説明します。

ネイティブチェックとは

「英文のネイティブチェック」とは、英語ネイティブが英文の文法上の間違いやスペリングミスを修正し、英語として自然な表現になっているか、また英文構成や文体は適切かをチェックして修正することを言います。

翻訳とは異なる

「日英翻訳」は、日本語で書かれた文章を英語に翻訳することであり、日本語と英語の両方に精通している人が翻訳を担当します。

一方、英文のネイティブチェックは、英語ネイティブが既に完成している英文をブラッシュアップし、英語としての間違いや不自然な表現を修正することです。

英文校正の一部である

「英文校正」は、英文の間違いなどを修正し内容の確認を行うことです。

したがって、英文のネイティブチェックは、「英文校正」のすべてまたは一部を、「英語のネイティブ」にしてもらうことであると言えます。

 

ネイティブチェックを受けるメリット

英語ネイティブではない日本人にとって、英文のネイティブチェックを受けることには、以下のように大きなメリットがあります。

  • 自然な英語表現の英文になる
  • 英語の誤りを正しビジネス上の誤解を防ぐ
  • 審査に通りやすい学術論文になる

自然な英語表現になる

英文のネイティブチェックを受けることで、より自然な英語表現になります。

文法やスペリングミスの修正だけだったら、英語ネイティブでなくてもある程度可能です。ただし、文法的に正しい英文だとしても、非ネイティブが作った英文にはネイティブにとって不自然な英語表現が含まれていることが多いものです。

 

特に、英語と大きく異なる言語構造を持つ日本語を母語とする私達にとって、英語をネイティブ並みに習得するのは難しいことです。実は、日本のお店の看板などに書かれた、不自然な英語表現を、おもしろおかしく集めたウェブサイトもあるくらいです。

 

そこで、お店の看板、レストランのメニュー、インターネット上の企業ウェブサイトなどの英文について、ネイティブチェックを受けることで自然で理解しやすい英語表現になり、お客さんにアピールしやすくなります。結果として、広告効果も高まることでしょう。

ビジネス上誤解が生じるのを防ぐ

ビジネス上の契約書などに間違えた英文を含んだまま契約を交わしてしまうと、英文の内容が伝わりにくいだけでなく、賠償責任が発生するなど深刻な事態につながりかねません。

たとえば、ある事項に対して誰が責任を負うのか、責任の範囲が及ぶのはどこまでなのか、どのような時に責任を免除されるのか、などいずれも重要な事項であり、間違いは許されません。

 

そのため、重要なビジネス上の英文契約書を作成する際は、ネイティブチェックを受けて万全を期することを強くお勧めします。

学術論文が審査に通りやすくなる

学術論文、特に理系分野の論文の場合は、国際的なジャーナルに英語で提出することが多いと思います。

そんな時、いくら論文の内容が素晴らしくても、次のような英文であったら、審査に通り論文を国際的なジャーナルに掲載してもらうことが難しくなってしまいます。

  • 文法やスペリングのミスが多い
  • ジャーナル指定のフォーマットに従っていない
  • 英文に誤りがあり、内容が正しく伝わらない
  • 不自然な英語表現が多く読みにくい

せっかく学術的に価値のある論文を書き上げても、英文に問題があれば、その価値が読み手に伝わりません。

英語のネイティブチェックを受けることで、完成度が高く、読み手にきちんと内容が伝わるような英文に仕上げましょう。

 

ネイティブチェックを依頼する際に確認すべきこと

英文のネイティブチェックを依頼する際は、まず以下の3点を確認しましょう。

  • 納期・価格
  • 専門分野に対応しているネイティブがいるか
  • 指定されている英文フォーマット等

価格や納期などの基本的な依頼事項

まずは、何を依頼する時にも必須である価格や納期の確認です。

同じ会社でも単語数や納期などの条件によって、価格が異なります。納期も、単語数や内容によって、対応可能なものが異なります。

 

依頼先候補の会社のウェブサイトを見て比較検討し、ウェブサイト上で分からない点がある場合は、事前にメールなどで確認しましょう。

 価格と業務範囲

価格は、単語数や納期だけでなく、ネイティブチェックの範囲によっても変わってきます。

たとえば、英文のネイティブチェックと一口に言っても、文法やスペルチェックだけ確認するのか、文体や英語表現としての自然さもチェックするのか等で、価格が異なる英文校正会社が多いです。希望する英文チェックの範囲とその価格を、あらかじめ確認しておきましょう。

納期

納期は、「単語数」で表される英文の長さや、英文の内容(専門的な文章なのか等)によって変わります。

また、上記で書いたように価格とも関連しています。たとえば、短期間で仕上げてほしい場合は、高めの料金設定が適用されるか、追加料金が必要になることが一般的です。

 

いつまでに仕上げてほしいのか、またそのためにはいつまでに依頼する必要があるかなど、依頼前にしっかり確認する必要があります。

フォーマル文書や専門分野に対応できるネイティブがいるか

英文のネイティブチェックは、英語ネイティブだったら誰でもできるわけではありません。たとえば、日本人であっても、誰もが日本語のフォーマルな文章を書き慣れているわけではありません。さらに専門的分野の文章ともなれば、専門用語も多く読み進めるのも難しいのが通常でしょう。英語のネイティブにとっても同様です。

 

また、英文校正会社によっても、得意な専門分野など特徴が異なります。そこで、英文校正の技術や経験を持っているだけでなく、フォーマルな文章に対応できる校正者がいるか、専門分野に対応できる校正者がいるか、あらかじめ確認しておきましょう。

フォーマルな文章をチェックできるか

日本語でもそうですが、フォーマルな文章というのは、文章の種類によって、ある程度決まった型があり、またよく使われる独特な表現もあります。

 

ビジネス文書等のネイティブチェックであれば、その業界のビジネスに精通していて、ビジネス文書に詳しい校正者が、契約書のチェックであれば契約書や関連する法律に詳しい校正者にネイティブチェックしてもらうのが一番です。

依頼する英文の分野を専門とするネイティブがいるか

さらに、学術論文ともなると、アカデミックな文章に慣れ親しんでいるだけでなく、その分野の専門知識を持っていないと、英文校正をするのは難しいです。

したがって、学術論文のネイティブチェックを依頼するに当たっては、その分野に詳しいネイティブ、たとえばその分野の学位保持者や、現役の研究者・教授などのネイティブ校正者に依頼するのがベストです。

英文フォーマットや英語の種類

eメールや広告、契約書やIR文書など、英文にはある程度フォーマットがあります。また、学術論文の場合は、掲載希望のジャーナルが英文フォーマットや英語の種類を指定している場合があり、それに則っていないと、審査を通し掲載まで行くのは難しいでしょう。

英文の決まったフォーマットがあれば伝える

契約書や学術論文など、決まったフォーマットがある場合は、依頼する際に原稿と併せて伝えます。

学術論文は提出先のジャーナルがこれらの条件を指定していることもありますし、指定されていない場合でも、これまでに掲載された論文を見れば、どのような文体が一般的なのか確認することができます。

アメリカ英語かイギリス英語か

また、文書の種類や提出先によって、英文に求められるフォーマルのレベルは異なるため、その程度を伝えておく必要があります。日本語でもそうですが、フォーマルな文章では、類似の意味を持つ話し言葉とは異なる単語が使われることが多いです。

 

たとえば、契約書に頻出する「責任を負わない」という表現ですが、会話などカジュアルな場面では、

“take no responsibility”

と言いますが、フォーマルでは”take”の代わりに”assume”などをつかって、

“assume no responsibility”

とすることが多いです。

 

また、学術論文で使われるアカデミック英語では、”I”を主語にせず受動態が多く使われるなどの特徴があります。

たとえば、「私は…だと推測する。」だったら、会話では、

“I guess …”

ですが、アカデミック英語では、”it”を主語にして、

“It is assumed that …”

などとなり、使われる単語だけでなく文の構造も異なることがあります。

さらに、提出先によって、アメリカ英語(米語)がいいのか、イギリス英語(英語)がいいのか、違ってくる場合があります。

米語・英語では、同じものを表す言葉でも異なる単語を使ったり、良く使われる文構造が異なったりすることがあります。

どちらかというと、英語より米語のほうが、平易な言葉を使いシンプルな文構造で書かれることが多いようです。ただし、好まれる文章の種類は、分野や掲載媒体により異なるので、あらかじめ確認してからネイティブチェックを依頼するようにしましょう。

ネイティブチェックを依頼するには?

実際にネイティブチェックを依頼するには、何から手を付けたらよいでしょうか。

まずは、自分なりに英文の文法やスペリングミスなどをチェックし、英語ネイティブが内容を理解できるような英文に仕上げる、専門分野に合った英文校正業者を探すことが重要です。

意味の通った英文に仕上げてから依頼

ネイティブチェックを受けるに当たって、ネイティブ校正者に英文の内容が正しく伝わらなければ、せっかくお金を払って依頼してもその効果は薄れてしまいます。

たとえば、ネイティブチェックを受けて修正された英文が、英文自体は修正されて洗練されたものになっていたとしても、筆者が意図していたものとは異なる内容に変わってしまっていた、ということは十分起こり得ることです。

 

そこで、ネイティブチェックを受けるに当たっては、内容自体に関して誤解が生じないような書き方を心掛ける必要があります。たとえば、何を指しているか分かるよう代名詞を多用しすぎない、主語と述語の関係が分かりやすいよう文を長くし過ぎない、などに気を付けましょう。

専門の業者に依頼するのが一番

英文のネイティブチェックと言うと、ネイティブの知り合いの方がいれば気軽にお願いしようかな、と考える方も多いかもしれません。ただ、知り合いの方と価格について話すのは気まずいですし、万が一納期が遅れたとしても、納品を催促しづらいというデメリットがあります。

 

そもそも、カジュアルな文章である場合や、知り合いの方が校正の経験を持ち専門分野に詳しい場合は別として、英語ネイティブであるというだけで英文校正ができるわけではありません。

フォーマルな文章や専門的な文章は、校正経験が豊富で専門的知識を持つプロの校正者がいる英文校正業者に、ネイティブチェックを依頼するのが一番です。

専門分野に詳しいネイティブ校正者がいる英文校正業者を、英文校正サイトを比較したウェブサイトで探してみましょう。

 

TOPへ戻る